ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.128

はしご酒(2軒目) その三十

「コノチガイ ハ オオチガイ」③

 もちろん、前向きな次の一手を考え抜いた、前向きな次の一歩を踏み出せた、という事例が、ないわけではない。

 たとえば、絹織物を地場産業としている、ある地方自治体では、地元のそうした業界の力強い協力を得ながら、みんな揃って袴で卒業式、という子どもたちのささやかなる夢を、保護者にも子どもたちにも負担がないかたちで、見事なまでに具現化している、と聞く。

 小さなコミュニティだからできること、と言ってしまえばそれまでだが、しかしながら、こんなに狭くて小さな国であるにもかかわらず、子どもたちの純粋な「卒業式に袴を着たい」という思いが、スッと叶えられるところと、ブチッと哀れにも叶えられないところがある、ということ自体が、あまりにもナンともカンともなことなのではないだろうか。

 子どもたちのために、考えに考え抜き、前向きなその一歩を踏み出せるのか、それとも、踏み出せないのか。この違いは、悲しくなるほど、大違いなのである。(つづく)