ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1035

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十六

「ハンケイ400メートル ノ ジュウジツ」

 自分たちが住む街で、ある程度完結していた時代が、あの、昭和、で、あったような気がする、と、Aくん、日々の生活とその街が、あったかく、密接に関わり合っていた、あの時代の、決して無くすべきではなかった宝物について、いま一度、懐かしみつつ、ソレらを咀嚼しながらユルリと語り始める。

 ん~、無くすべきではなかった、宝物、か~。

 コレも、ナンの躊躇もなくスグさま理解できる。

 ナゼなら、あの頃、私が住んでいた、あの、名もなき街もまた、まさに、ナニもカもほとんど、その街だけで完結していたからである。

 ・・・

 幼小中高と、揃い踏みの学校たち。

 交番。

 消防署。

 郵便局。

 信用金庫。

 医院。

 教会。

 銭湯。

 文房具店。

 薬局。

 スポーツ用品店

 写真館。

 電気屋

 金物屋

 畳屋。

 八百屋。

 鶏肉屋。

 米屋。

 市場。

 駄菓子屋。

 和菓子屋。

 うどん屋

 中華料理屋。

 釜飯屋。

 牛乳配達店。

 しばらくして、珈琲店、ケーキ屋、パン屋。

 そして、お隣の、とてもお世話になったお豆腐屋さん。

 そんな、私の家から半径400メートル圏内の充実。

 おそらく、合理性とか、機能性とか、生産性とか、といったモノとは無縁の、ナンてことのない普通の街であり、そうした一つひとつもまた、吹けば飛ぶような小さきモノであったのかもしれないけれど、でも、少なくとも、その名もなき街は、リアルに呼吸する一つの生きている街として、ソコに間違いなく存在していたのである。(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1034

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十五

「ナモナキ イチゴ」

 「名もなき」 

 ん?

 「あのミスチル(Mr.Children)の、♪名もなき詩、じゃ、ないけれど、巷を賑わす様々なブランド苺(イチゴ)ではない名もなき苺が、意外にもメチャクチャ美味しかったりするものだから、農作物って、ホント、面白い、というか、奥が深い、というか、マジで感心したりしてしまうわけよ」、とAくん。

 名もなき、苺?

 あ~、ソレならスグさま理解できる。

 それは、父親の故郷である四国は高知の、室戸に、数年前に初めて訪れた時、その途上で、たまたま立ち寄った道の駅で、たまたま購入したトンでもないほど安価な名もなきノーブランド苺が、空前絶後の美味しさであったコトを、リアルに経験しているからだ。

 その、名もなき苺。

 いや~、マジでホントに美味しくて、その夜、たまたま手に入れたCEL-24という酵母で醸された(らしい)純米吟醸酒の、そのアテにしてしまったぐらいなのである。

 そんな「名もなき」、とは真逆の「名がありすぎ」に、あるいは、クソみたいな「肩書きまみれ」に、このところ、度々ゲボッと反吐が出そうな私、で、あるだけに、この「名もなき」というワードに、(少し飛躍しすぎかもしれないけれど)、この国、この星、の、未来に対する救世主のようなパワーを、感じたりもする。つまり、後押しなどダレもしくれない、自分の実力以外ナニも頼れない、みたいな、そんな中でも、己を信じて、前へ、前へと突き進む姿勢は、いずれ、必ずや、多くの共感を呼ぶ、に、違いない、という・・・いや、やっぱり飛躍しすぎ、だな。

 などと独り言ちていると、Aくん、「でも、そんな名もなき苺みたいなモノとは対極の、『名があるから辛い』という、ソレはソレなりの嘆きみたいなモノもまた、あったりするのだろうけどね」、と。

 な、名があるから辛い?

 あ、あ~、名があるから、辛い、か~。たしかに、ソンな「辛さ」もあるのかもしれないな。

 この際、名もなき、であろうが、名がある、名がありすぎ、であろうが、そのドチラ側にも、とりあえず、「周りのコトなど気にせず、己を、己の力を信じて、真っ当な正義の道を突き進め~」、と、エールを送っておこうと思う。飛躍しすぎかもしれないけれど。(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1033

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十四

「コトワレルワケネエダロ バカヤロ~」

 「ナニが言いたいのか意味不明、サッパリわからないのは、本当のコトを言わないからだろ」、とAくん。

 ん?

 「たとえば上司に、『例のアレ、もちろん強要はしないよ。あくまでも決めるのは君だから。ま、置かれている立場やら状況をよく考えて判断してくれたまえ』、と、実に穏やかに言われたとしようよ。その例のアレ、断れると思うかい」

 ん~、ソレは、かなり厳しい。

 「断れない、かな。余程のコトなら断れるかも知れないですが、いや、やっぱり断れない、と、思います」

 「そう。そう簡単には断れない。でだ、そんな上司と部下との関係のようなナンともカンともな関係が、国家間にもあったとしたら、どうだい」

 「こ、国家間にも、ですか」

 「そう、国家間にも、だ」

 そんな静かなるパワハラみたいなモノが、社内にあることも好ましいとは思わないが、ソレが国家間にもとなると、もう、好ましいとか好ましくないとか、みたいな、そんなレベルの問題ではなくなるかもしれない。だから・・・。

 「私は、いかなる国家も対等でなければならないと思っています。相手国を圧倒的なパワーで高圧的に思い通りに動かすコトが、正しいとは、微塵も思えない」

 しかしながら、そう強気に宣いつつも、世の中、正しいコトだけで動いているなら、こんなにも愚かなコトまみれにならなかったはず、と、半ば、諦めモードの私であることに、気付いたりもする。

 「だから、本当のコトを言ってしまえばいいんだ」

 ん?、本当の、コトを言ってしまえばいい?

 あっ。

 ひょっとすると、アレか~、アレのコトか。

 ほとんどナンの役にも立たないモノなのに、購入せざるを得ない状況に追い込まれる。役に立たないのに隣国に刺激だけは与える。それゆえ、ヤタラとキナ臭くなる。当然、借金に次ぐ借金で、やら、増税に次ぐ増税で、やらで、掻き集められたマネーは、湯水のごとく使われ、一般ピーポーたちは困窮し疲弊する。おそらく、教育も福祉も、文化も芸術も、そして、命までも、今後、更に一層、軽んじられていくはず。にもかかわらず、そんなナンの役にも立たないモノの購入を受け入れてしまうのは、やはり、受け入れなければならないナニかがあるからなのだろう。ソレが、国家間ににもあったらどうする、という、上司と部下との関係、ってヤツか。

 「所詮、この国なんて、この国の権力者なんて、その程度のモノだということだ。その程度のモノなんだから、カッコつけずに正直に言えばいい。『断りたいよ、断りたいけど、断れるわけねえだろ、バカヤロ~』ってね」

 断れるわけねえだろ、バカヤロ~、か~。

 たしかに、ナニもカも包み隠さず正直に言うことで、やっと、この国のピーポーたちがそのコトを知り、そのコトについて真剣に考えることができるようになるのではないか。とは、思う。知らないままでは、おそらく、取り返しがつかないようなトンでもないコトが起こってしまうまで、ナニも知らないまま突き進んでいってしまうような気もする。しかし、しかしだ。とは言うものの、ナニかが、ナニかが引っ掛かる。その、そのナニかとは・・・。

 「で、でも、でもですよ。断れないコトのドコが悪いんだ、という居直りに、繋がりはしませんか」

 するとAくん、間髪いれずに「繋がるかもな」、と。 

 へ?

 「ソ、ソレで、いいんですか」

 全く動じる様子も見せず、さらにユルリとAくん、語り続ける。

 「繋がるかもしれないけれど、真実を知った上で、居直れないようにすればいい。皆で、声高らかに、『それでも、断んなきゃならねえモンは断らなきゃダメだろ、バカヤロ~』と訴えればいい。と、僕は思っている。先ほども言ったけど、一般ピーポーが真実を知るコトは、やはり、大事だ」

 トにもカクにも、まず、ナニよりも真実を知るコトが大事、ということか。

 「でも、あの人たちは、本当のコトは言わない、わけですよね」

 「居直る気力もないんだろ。そのドコが悪いんだ、と、居直るにもエナジーがいるからな」

 居直るにもエナジーが、いる、か~。

 「だから、知られたくない。だから、我々一般ピーポーごときに、本当のコトなど知らせる必要はない。と、マジで思っているのだろう」

 ふ~。

 なんだかメチャクチャ腹が立ってきた。 

(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1032

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十三

ジュンスイコウキシン ノ ススメ」

 「純粋好奇心!」

 ん?

 「純粋好奇心のすゝめ、だ」

 んん?、じゅ、純粋好奇心の、すゝめ?

 「ナニモノにも左右されない、邪魔されない、振り回されない、純粋なる好奇心。この、ただ真実を知りたいだけなんだ、という純粋好奇心こそが、この世の歪みを、乱れを、修正できる唯一なのではないか、って、僕は思っている」

 ただ、純粋に、真実を、か~。

 「にもかかわらず、悲しいかな、そうした真実を知りたい、という思いのエナジーは、このところ、ウンと低下しつつあるような気がしてならないんだよね」

 ん~。

 真実を知りたい、という思いのエナジーの、低下、か~。

 そう言われると、たしかに、テレビのニュースバラエティ番組などを見るにつけ、ソレに近い思いを感じることはある。

 たとえば、その道の、真っ当な専門家でもナンでもないコメンテーターが、局やらスポンサーやら番組やらの方針に沿った、ソレなりに視聴率も稼げそうなコメントを垂れ流す。そして、一般ピーポーたちは、そうした垂れ流しを無防備に受け入れてしまう。当然のごとく、こうしたコトの危険性は、言わずもがな、である。

 「立花隆

 ん?

 「立花、隆。好きだったんだよな~」

 あっ、あ、あ~。

 「その人、たしか、知の巨人、と、言われていた人ですよね」

 「そう、知の巨人、立花隆。『真実を知りたい』の塊(カタマリ)のような彼こそが、まさに、純粋好奇心の人、な、わけ」

 知の巨人、立花隆、か~。

 「もちろん、ダレもが立花隆になれるとは思わないが、純粋に真実を知りたいんだ、知りたいだけなんだ、というその姿勢は、大いに学ぶべきじゃないか、ってね」

 その通りだ。と、私も思う。

 都合の悪いコト、自己否定に繋がってしまうようなコト、知りたくないコト、知ったところでドウしようもないとしか思えないコト、といったコトコトコト、にも、私たち一人ひとりが、勇気をもって、力強く、それでいて冷静に、歩み寄り、踏み込み、切り込んでいかなければ、権力者たちの暴挙も、致命的な愚行も、誤った方向に引き摺り込もうとするポピュリズムも、原理主義的なモノの考え方も、カルトも、絶対に、この世から消え去ることなどないように思えるからだ。(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1031

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十二

「ジャクシャ ノ ケイショウ ナンゾ ムシシテ ダイジョウブ」

 「ほら、先日、凄まじい判決があったろ」

 ん?

 「そ、そんなモノがあったのですか」

 「あった、あった。国策に反するモノは、ソレが極めて重要な警鐘であったとしても、無視して大丈夫、という判決」

 え?

 「仮に、その警鐘が現実のモノとなって、トンでもないコトになってしまったとしてもだ、その警鐘を無視したコト自体が罪に問われるコトはない。という判決が、つい先日、高裁で言い渡されたんだよな」

 そう語るAくんのその表情は、さすがに重い。

 無視しても、大丈夫、とは、いったい・・・。

 「予見可能性と結果回避可能性」

 よ、予見可能性と、結果、回避、可能性?

 あっ、ア、アレか~、あのコトだな、きっと。

 「この二つを認識するための情報はなかった、って、こと」

 「で、でも、かなり前から警鐘を鳴らしていた学者は、いたわけですよね」

 「いたわけだけれど、弱小学者ふぜいが鳴らした警鐘やら予見やら、なんぞ、単なる『戯言(タワゴト)』に過ぎず、そんなモノに耳を傾ける必要なし。というわけだ」

 う、うわ~。

 「今回の判決は、今後に向けて、そのお墨付きをいただいた、ってことになる」

 ん~、コ、コレか。

 コレが、先ほどのあのコトだな、きっと。

 Aくんが言うところの、あの、「ナニゴトにもビクともしない公正な裁判、なんて、古今東西、人間ごときでは、そう簡単にできるもんじゃない」って、ヤツの、その意味が、一気にわかったような気がする。(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1030

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十一

「ミンシュシュギ ヘノ テロ! ミンシュシュギ ヘノ テロ?」

 私が、新聞を手にとって、ボンヤリとソレを眺めていたからなのだろうけれど、同じようにAくんも、ソコから、別のある日の朝刊を摘まみ上げて、「コレだよ、コレ」、と。

 コレだよ、コレ?

 「多分、あの事件が、いよいよ法廷へ、というコトを受けての一面の大見出し、だとは思うのだけれど、なんだか底知れぬ違和感を抱いてしまったわけよ」 

 底知れぬ、違和感?

 差し出されたその朝刊の一面の大見出しに目をやる。

 「民主主義へのテロ、法廷へ。ですか」

 「そう、ソレ、ソレ」

 「アレって、民主主義へのテロだったのですか」

 「僕は、もちろん、違うと思っているけれど・・・、ん~、とにかく、とにかくだ。コレから法廷へ、なわけだろ。少なくとも、今、この時点で、断定的なモノ言いは好ましくない。ましてや、公正でなければならないはずの新聞が、ソレじゃ~な~。印象操作、世論誘導、と、指摘されても文句は言えんだろ」

 印象操作、世論誘導、か~。

 「じゃ、どういう大見出しにすれば良かったのですか」

 少し間をおいてAくん、ユルリと、「せめて、『民主主義へのテロか、個人的な恨みか、法廷へ』みたいな感じに、は、してもらいたかったな」、と。

 なるほど。

 「でも、では、ナゼ、そういう大見出しにしなかったのでしょう」

 「圧倒的な権力を握り続けてきた権力者が、万が一にも、まかり間違っても、個人的な恨みで殺害されたなどということになっては困る、というコトなのだろう」

 そ、そういうコトか。

 「仮に、仮にだ。民主主義へのテロ、というモノが起こる可能性があるとしたら、おそらくソレは、むしろ、コレから行われる裁判のその中身だと思う」

 えっ?

 「民主主義に対する冒涜(ボウトク)という、静かなるテロ」

 静かなる、テロ?

 「圧倒的な権力による、目に見える暴力を伴わない合法的テロだ」

 な、な、なんという、テロだ。

 「ナニゴトにもビクともしない公正な裁判、なんて、古今東西、人間ごときでは、そう簡単にできるもんじゃない、ってコトなのだろうな」

(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1029

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十

「コノママジャ ダメダネ」

 先生の質、保てない?

 2000校で欠員?

 魅力失い倍率最低?

 教員不足?

 学校崩壊?

 ・・・

 本棚みたいなモノの陰に、隠れるようにして置かれてあった縦長の木箱のその上に、雑に積まれた数日分の新聞紙。その一番上のその一面の、その、身の毛もよだつワードがズラリと並んだ見出したちが、目に飛び込んでくる。

 しかし、しかしだ。私に言わせれば、この期(ゴ)に及んで、ナニを今さら、ナニを言う、である。

 Aくんとの出会いもそうなのだけれど、ナゼか、学校の先生と出会うことがヤタラと多い私の居酒屋ライフ。そうして出会った先生たちのほぼ全員が、随分と以前から「このままじゃ、ダメだね」と、愚痴りボヤき訴えていたのである。にもかかわらず、「飼い犬に噛まれるコトはない」という、上のエライ人たちの、その、頑とした「現場軽視」体質、ポリシー、ゆえ、そうした現場のリアルな声が日の目を見ることなどあるはずもなく、そうこうしているうちに、とうとう、こんな情けない見出しのようなコトになってしまったのだろう。

 ・・・

 次から次に上からバラバラと舞い降りてくる、ドウでもいいような大量の、雑務。

 全く役に立たない、カタチだけの、研修。

 更に、イヤというほど管理的な、圧力。

 職員会議から消えた、議論。

 残ったのは、強制やら命令やらと同義の、連絡。

 気になる、評価、考課。

 増殖する、日和見主義。

 メディアも乗っかって、皆で寄って集(タカ)って学校の先生への、容赦ない、バッシング。

 ダレにも頼れない、ダレも守ってくれない、という、孤独感。

 当然のごとく、溜まりに溜まる、消えることのない、疲弊感。

 学校の先生ばかりがいい思いをいていると、剥奪された、自主研修権。

 ついでに、給料、カット。

 そして、一向に改善されない、公教育、環境。

 労働、条件。

 ・・・

 そりゃ、「このままじゃ、ダメだね」だと、学校の先生でもナンでもないこの私でさえ、思う。

(つづく)