ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1209

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と四十

「シュウダンジケツ ト ロウガイ ト ヒトリノ ロウジンハ ヒトツノ トショカン」

 「そもそもは、アマドゥ・ハンパテ・バーとかいう、たしかマリ共和国だったか、その国の民族学者の言葉だったようなんだよな」

 ん?、アマドゥ?、ハンパテ?

 「一人の老人の死は、一つの図書館を失うに等しい」

 あ、あ~。

 「ソレなら、私も、聞いたことがあります。人生の先輩たち一人ひとりが、知識と経験のカタマリだという意味ですよね」

 「そう。ただ、元々は、生活の中に『文字』が伝達ツールとして浸透していない現状を憂いての言葉だったらしいのだが」

 知識を伝えるためのツールが、文字ではなく『言葉』であった、ということか。

 「今では、老人たちが蓄積してきた知識と経験をナメんなよ、みたいな、そんな意味として使われているし、定着もしている。先ほどのフレーズは、たしか、あの国連の事務総長であったアナンが、そういう意味を、思いを、込めて、なにかの世界会議で紹介したモノだったと」

 老人たちの知識と経験をナメんなよ、か~。

 「記憶しているのだけれど、そのまたもう一方で、ヤヤもすると老人たちは『老害』などと言われたりもする。老兵は死なず、ただ消えゆくのみ。とっとと去れ、消えやがれ、てなもんだ」

 老兵は、去れ、消えやがれ、か~。

 「『一つの図書館』とは、エラい違いですね」

 「ソレどころか、ま、インパクト狙いか、単なる言葉足らずか、の、ドチラかとは思うけれど、『集団自決』のような短絡的で極めて物騒な言葉までもが飛び出してきたりする始末」

 あ、あ~。

 あの、高齢者は老害化する前に、ってヤツのことだな。

 「社会の中で、組織の中で、問題なのは老害化であって、老人ではない。ソコのところをゴチャゴチャにしてしまったものだから、人生の晩年、その時が来ればシュッと消え去るような、合法的自動老人消滅システムみたいなモノがあれば、みたいな乱暴な話に、どうしてもなりがち」

 間違いない、彼の、あの、言葉だ。

 「な、わけだ。しかし、そういう言い方をしてしまうのは、やっぱり、インパクト狙いでも単なる言葉足らずでもなく、彼の頭の中に、老人自体が、老人が生き永らえるコト自体が、老害、だという意識があるってコトなのかもな」

 ん~。

 たしかに、悲しくなってくるほど短絡的だ。

 集団自決と、老害と、一人の老人は一つの図書館とが、入り乱れるこの社会で、若者たちも、いずれ、時が来れば老人となる。その時、「集団自決」を選ぶのか、「老害」道を突き進むのか。それとも、「一つの図書館」でありたいと、人生を通して己自身を磨き膨らませていくのか。

 さ、どうする。

(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1208

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十九

「ゴヨウキキ ノ キキ」

 「つまるところ、政治家は、『御用聞き』みたいなモノなんじゃないか、ってね」、とAくん。

 ご、御用聞き?

 「その御用が、本当に必要なモノなのか、なんてことはこの際どうでもよくて、とにかく票に繋げるために「任してくださいよ、バッチリやらせていただきますから」的な、そんな御用聞き政治家が、結局、ヤヤもするとカネカネカネにまみれがち、だということだ」

 カネカネカネにまみれがち、か~。

 「巷でザワついているあの政治献金なんて、まさにソレですよね」、と私。

 「政治献金、ね~。たしかに、合法的御用聞き、って、感じだよな。だけど、そんな掟破りの要求ではない純粋な応援、てのも、あるだろうからな」

 純粋な応援、か~。

 「見返りを求めない応援。ソレなら素晴らしいと思います。が、ソレって、政治家自身が、よほどシッカリしたものをもっていないと難しいですよね」

 「コトと次第によっては、ソレは受けられない。と、言える政治家でないとダメだってことだな」

 「そうです。しかし、そんな政治家、そう簡単にはいないですよね」

 「いないかもな~。大きな権力を握れば握るほど、真っ当な信念がガラガラと崩れていく、ブチュブチュと腐っていく。って、感じだから。とくに、あの世界は」

 ガラガラでブチュブチュ、か~。

 ふ~。

 ・・・

 ナニか必要なモノはございませんか?

 コレコレが必要です。

 いや、そのコレコレは、法的にも安全面でも、問題も危険性もありますので、ちょっと難しいですね。

 そんな硬いコト言わずに、額も数も、かなり上乗せして買わせてもらいますし、悪いようにはしませんから。

 そうですか~。じゃ、ココだけの話ということで。ヨソには黙ってて下さいよ。

 みたいなコトが、結構、罷り通っているような気がしてならないのである。

 御用聞きの、危機。

 まさに、御用聞き政治家たちによるトンでもない危機が、もう、すでに、目の前に・・・かも。(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1207

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十八

「ケツゼイ ト ドンブリカンジョウ ト ゼツボウ ノ ゲンバ ト」

 「やろうとするコトが大きければ大きいほど、コレでもか、と、思うぐらいの緻密さで臨む。その緻密さがあって、はじめて、成し遂げられる。にもかかわらず、その緻密さが、あまりにもアッチ向いてホイなものだから、もう、現場は、絶望的。なんてコトが、結構、そこかしこであったりするんだよな」、とAくん。

 ん?

 ひょっとすると、ナニかと巷で話題の、あの、ビッグイベント系の公共事業のコトか。

 「そもそも、その能力がないのか。もともと、ヤル気がないのか。はたまた、いろんなトコロからの要望を聞き過ぎてニッチもサッチもいかなくなってしまっているのか。あるいは、トンでもないほどの楽観主義者なのか。なんにしても、ヘタをすると、巨額の血税をドブに捨てる、みたいなコトになってしまいかねないだけに、捨て置けないわけよ」

 間違いない、あのコトだ。

 ん~、多分、調整が、連携が、極めて苦手なのだろう。あの人たちの普段の言動に鑑みて、みても、そんな気がする。

 「先ほども、ちょっと、エラそうに宣わせてわせてもらったけれど、トータルコーディネイトできないタテワリーズたちのおかげで、マジで現場は『絶望の現場』らしいぜ」

 絶望の現場、か~。

 「情けないよ、まったく」

 ソレが真(マコト)なら、たしかに情けない。

 「ようするに、いい加減なドンブリ勘定で臨めば、現場のそこかしこで、トンでもない支障がポコポコと湧き出しまくる、ということだ」

 しかし、アレほど注目されているわけだから、普通の神経なら、そう簡単には、ドンブリ勘定なんかで臨めないと思うのだけれど。いったい、あの人たちの頭の中は、心の内は、ドウなっているのだろう。

 「普通の神経なら、投入する血税が巨額になればなるほど、より慎重に、緻密に、なると思うのですが。ナゼ、そのドンブリ勘定ってヤツになってしまうのでしょう」

 すると、Aくん、ニタッとほくそ笑みつつ、「他人の財布だと思っているんだろ。自分の財布なら、あんな無尽蔵で青天井なカネ(金)の使い方はしないだろうからな」、と。

 血税は他人の財布、か~。

 仮に、マジでそんなふうに血税を捉えているなら、絶望の現場、どころか、絶望の一般ピーポーたち、に、さえ、なりかねないな。

 くわばら~くわばら~。

(つづく)

 

 

 

 

追記

 ちなみに「くわばらくわばら」は、あの菅原道真ゆかりの呪文。彼の屋敷があった「桑原」という町は、まったくカミナリが落ちなかったそうな。

 菅原道真、恐るべし。

 恐るべしついでに、道真公に、寝ぼけ気味の議員やら関係者やらにシャキッとしてもらうため、ココは一発、ゴロゴロビッシャ~ンとカミナリでも落としていただこうか。

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1206

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十七

「ホウニノットッテーズ ハビコル!」

 「法に則(ノット)って、って、ナンなんだよ、いったい」

 オープニングからハイテンションな、Aくん。

 「あたかも、法が、免罪符かのようなモノ言い」

 お怒りモード、・・・

 「法に則ってやっているのだから問題はない、だって~。よく言うよ、まったく」

 ・・・、全開。

 「だいたいからして、あの人たちがつくった法だろ。そもそも最初から、意図的に、あの人たちの免罪符になるような建て付けになっているんじゃないか、って、勘繰りたくなるよな」

 最初から、免罪符になるような建て付け、か~。

 たしかに、そう勘繰りたくなる。

 アレほど、しつこいぐらい「法に則って、法に則って」と宣われると、つくった当人たちにとって都合がいい、使い勝手がいい、抜け道まみれの「ザル法」だと、どうしても、思わざるを得ない。

 「先ほどのミソギガスンダーズ風に命名させてもらうとするなら、ホウニノットッテーズ、あたりか」

 ホウニノットッテーズ、か~。

 「ならば、アタマに『ザル』を付けておかないとダメでしょうね」

 「ザルを?。あ、あ~、ザル、ホウニ、ザルホウニノットッテーズ、か。なるほど。ザル法を免罪符にして姑息な逃げ切りを図るあの人たちに、ドンピシャの命名だな」

 そう、ザルホウニノットッテーズ。

 恐れを知らない、天下無敵のザルホウニノットッテーズたちもまた、蔓延る蔓延る、蔓延りまくっている、政界。かの越後屋が、悪代官やら家老やらに取り入って懐(フトコロ)を肥やしまくったように、民と官とのタダならぬ癒着は、今の世でも衰えを知らず、と、いったところだろうか。

 恐ろしや~恐ろしや~。

(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1205

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十六

「ミソギガスンダーズ ハビコル!」

 検察が入った。

 禊(ミソギ)が済んだ。

 政治倫理審査会に臨んだ。

 禊が済んだ。

 議論を尽くした。

 禊が済んだ。

 どうにかこうにか選挙にも勝った。

 禊が済んだ。

 そんな感じで政界のそこかしこで「禊が~禊が~」の大合唱、の、ミソギガスンダーズたちが、蔓延る蔓延る、蔓延りまくっている。

 「禊が済んだが口癖のあの人たちのことを、私は、ミソギガスンダーズ、と、呼ばせてもらっているのですが」

 「ミソギガスンダーズ?。いいね、それ、いいよ」

 「本来、禊とは、清らかな水で身を清めること。でも、申し訳ないけれど、検察も政倫審もあの手の議論も、選挙も、清らかな水ではない。そんなモノで己の中の不浄を取り除くことなどできない。できるわけがないのです。清めの地、パーガトリー、煉獄(レンゴク)は、そんな、生易しい場所でも時間でもない、と、私は思っています」

 「ミソギガスンダーズ、ならぬ、ミソギナンカスンドランゾーズ、だと、君は言いたいわけだ」

 「ミソギナンカスンドランゾーズ?。そ、そうです。禊なんて済んでいない。権力者の悪行は、そんなモノでは、絶対に、清められないし、許されない。だから、煉獄で、もっと、もっと苦しみもがかなければならない。スンドランゾーズたちは、そのコトを、忘れてはいけないんです」

(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1204

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十五

「オー! ビーピーオー!」

 あるフリーのジャーナリストが、活字媒体、活字メディア、に、対しても、BPO(ビーピーオー)のようなチェックシステムをつくることができないものか、と、提案されていた。

 そう、B、P、O。

 自主独立が信条の、放送倫理、番組向上、機構。

 「テレビだけでなく活字媒体にも、BPOのようなチェック機構があった方がいいように思えるのですが」、と私。

 「ビーピーオー?。あ、あ~、BPOね」

 「活字倫理、出版物向上、みたいな」

 「あってもいいと思うが、・・・」、と、妙につれない、Aくん。ナニか、引っ掛かる点でもあるのだろうか。

 「そもそも、電波とペンとではバックグラウンドが違うからな~」

 ん?。バックグラウンド、とは。

 「ペンは剣よりも強し、と、よく言われたりしているけれど、電波は剣よりも強し、なんて、誰も言わないだろ」

 たしかに、聞いたことがない。

 「放送法やら電波法やらに、どうしても、ガンジがらめ。ビビりぎみ。それゆえ、必然的に国家権力に弱くなりがち。てなわけだ」

 あ~。

 そういえば、ときおり、総務相あたりが免許の取り消しもあり得る、みたいなコトを、エラそうに、わざわざ宣ったりしているな。

 「ひょっとしたら、実は、国家権力から守るために、その機構、つくったのかもしれないぜ」

 放送局を、ではなく、むしろ、その背後の強大なチカラを、圧力を、チェック、か~。それ、あり得るかもしれない。

 「ビビりぎみの電波と違って、ペンは剣よりも強し。剣は横暴な権力。その権力に立ち向かうペンにBPOなんて必要ないだろ。そんなモノつくってしまったばっかりに、本来のペンのチカラが規制されてしまっては本末転倒、元も子もない」

 んん~。

 Aくんのその思いも理解はできるが、ただ、あまりにも性善説に基づき過ぎなような気がする。そのターゲットがドレほど追い込まれようが傷つこうが、ドウなってしまおうが、売り上げ部数さえ伸びればソレでいい的な、そんな理不尽で無責任極まりない活字が、活字媒体が、見受けられるだけに、悩ましい。

 「ただし」

 ん?

 「ただし、ペンは剣よりも強し、で、あって、間違っても、ペンが剣になってはいけない。ソレは絶対に許されない」

 ペンがもつ強さの意味を履き違えてはいけない、と、いうことか。深い、深いな。

 「だけど、やっぱり、ペンに対するBPOには、諸手を挙げて賛成というわけにはいかない」 

 ん~。

 「いかないが」

 ん?

 「あの、国会には、そのBPO、あってもいいかもな」

 「こ、国会には、ですか」

 「そう。国会は『Diet (ダイアット)』、答弁は『Response (レスポンス)』だから、BPO、ならぬ、DROだな」

 ディーアールーオー、DRO 、か~。

 いいかもしれない。

 「国会倫理、答弁向上、機構。ですね。それ、賛成です。大賛成」

(つづく)

ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1203

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十四

「ナニサマ?」

 「圧倒的弱者が、圧倒的強者に対して、好き嫌いとか敵味方とか損得とかとは関係なく、ただ、「いくらなんでも、もう、黙っているわけにはいかない」という思いから、やっと声を上げることができた、にもかかわらず、そんな圧倒的弱者に向けて、好き嫌いやら敵味方やら損得やらの呪縛から解き放たれないピーポーたちが、妙に、ヤタラと使いたがるフレーズ、ってのがあるわけよ」、とAくん。

 呪縛から解き放たれないピーポーたちが、ヤタラと使いたがる、フレーズ、とは、いったい。

 そのフレーズ、私なりに秒速で、アレコレ思い起こしてみようと試みる。とくに匿名性三昧のネットの世界では、そうしたアレコレ、溢れ返っている。と、思ってはいたものの、あらためてどんなモノが、と、思い起こそうとしても、そう簡単には思い起こせない。 

 「ソレが」

 グッと身を乗り出す。

 「ナニサマ?」

 なにさま?。あ、あ~。

 「なにさまのつもり、の、なにさま。問答無用の殺し文句ですよね」

 「殺し文句?。ん~、ちょっと違うような気もするが。その思いを、魂を、もぎ取ってしまう、という意味では、まんざら的(マト)外れでもないか」

 「勇気を振り絞って声にしたその熱き思いを、『あなたのその立場でエラそうに言うんじゃないよ』と、力付くで、乱暴に、根こそぎ引き抜いてしまおうとするのですから、やっぱり、殺し文句だと思います」

 「あっ」

 ん?

 「そういえば、ある知人がある権力者の悪行に苦言を呈しまくっていると」

 んん?

 「その場にいた者から『ナニサマ?』、と」

 「揶揄された、わけですね。で、その方はどうされたのですか」

 「間髪入れずに言い返したらしいよ」

 おっ。

 「『国民サマだ』、ってね」

 お~、国民さま、か~。

 「いいですね、その、国民さま」

 「国民サマが強者たちの悪行にモノ申してナニが悪い、と、いうわけだ」

 なるほど、なるほどな。

 職業も、性別も、年齢も、その他モロモロも、一切関係なくどんな立場であろうとも、全ての国民さまが、権力者の、強者の、悪行にモノ申せる国こそが健全な国なのだと、心底、思う。(つづく)