はしご酒(Aくんのアトリエ) その九百と十二
「ジセキ ト タセキ ノ ハイブレッド?」
「そうした被災地の現状を、被災地への、被災者への、国の対応を、見る度に思うわけ」
ん?
「この国は、自責と他責のハイブリッド社会なんだな、ってな」
んん?、「ジセキ」と「タセキ」のハイブリッド社会?
「弱者は、いつだって自責を強いられ、強者は、いつだって他責で逃げを図る」
ん、んあ~、自責と、他責、か。
「ハイブリッドカーなら燃費も良くなって万々歳なんだろうけれど、自責と他責のハイブリッド社会となると、そうは問屋が卸さない」
たしかに、卸してくれなさそうだ。
自分の力でできるコトと周りからの力を借りてできるコト、つまり自力と他力のハイブリッドなら、まだしも、弱者たちに課せられた「自責」と責任の全てを自分以外に押し付ける強者たちによる「他責」のハイブリッドで良くなるモノなんて、おそらく、あの人たちにとっての「都合」ぐらいだろう。そう、好都合な自責と他責のハイブリッド。
「でも、あの人たちにとっての『都合』だけは、良くなるでしょうね」
「だろうな」
「そして、その都合の良さこそが、きっと、あの人たちが考える、この国の燃費の良さなのでしょう」
「ん~、じゃ、あの人たちが思い描く、目指す、その、この国の燃費の良さ、って、いったい、ナンなのか」
あの人たちが目指すこの国の燃費の良さ、か~。
・・・
なんだか恐ろしいワードばかりが頭の中を過(ヨギ)りまくる。
・・・
「燃費の、燃費の良さって」
「ん?」
「ようするに『効率』ですか」
「だろうな、多分。そう、効率。効率の良さ。efficiency(エフィシェンシー)」
「つまり、例の、あの、『生産性』というヤツにも間違いなく繋がっていきますよね」
「そりゃそうだろ。efficiencyとproductivity(プロダクティビティ)とは兄弟分みたいなものだからな」
「その両者を満たす国民が、国民だけが、国民こそが、あの人たちが目指すこの国の燃費の良さだというのなら、私は、燃費なんてクソ喰らえ、と、声を大にして言いたいです」
「いいね~、燃費なんてクソ喰らえ。同感だ。けれど、残念ながら、あの人たちが我々に求めるモノは、その本音は、『自己責任』。そして『貢献』。な、わけ」
自己責任、と、貢献、か~。
「そういえば」
「ん?」
「『さもしい顔して貰えるモノは貰おう』などと宣ってしまう、宣ってしまえる、国会議員、おられましたよね」
「いたね~。今も現役みたいだが、あえて、わざわざ、不正受給者の話をもち出して、正当な受給者を萎縮させてしまおうという手口。ソコに本音が透けて見えるよな」
見える。ハッキリ、見える。
「自分たちは、いつだって、都合良く責任転嫁、他責、塗(マミ)れ。の、くせに、一般ピーポーたちには、いつだって、自責、自己責任。血税に頼るな。己の力でどうにかしろ。もちろん、そんなコト、皆、重々承知なわけ。でもね、できない時が、己の力だけではドウしようもない時が、ある。そんな時に、理屈抜きに寄り添う、迅速に手を差し伸べる、のが、心ある国のあるべき姿だろ、違うかい」
違わない。ゼンゼン、違わない。
(つづく)