はしご酒(2軒目) その二十九
「コノチガイ ハ オオチガイ」②
「小学校の卒業式に袴(ハカマ)を着たい」
ナニ気にボンヤリと、TVでニュースを見ていたZさん、おもわず、その画面に向かってガッツポーズをとってしまった、らしい。
卒業式に袴を着たい、という、この子どもたちの熱き思い。に、関係諸氏の喜びもまた、相当なものであったのではないか。まさに、着物の、袴の、復権、捲土重来。そして、未来への希望。が、ジワジワっと膨らんでいくのを感じたに違いない。と、熱く熱く語っていた、Zさん。
ところが。
にもかかわらず、そんな「よしよしよし!」ムードに激震が走った、というのだ。
その激震が走るまで、突っ込みどころなど微塵もあろうはずがない、と、思っていた、とZさん。そして、Zさんから、その話のつづきを聞くまでは、そんなコト、思いもしなかった、私。
ところがどっこい。
そうは問屋が卸さないのが、この国。この、ワンダーランド、ニッポン、チャチャチャ、ワチャワチャ、ワチャ、なのである。ホントに、もう、ワチャワチャ。
華美になる。
華美になる?
貧富の差の助長。
貧富の差の助長?
華美?、貧富の差?、助長?。といった想定外のワードに耳を疑ってしまいつつ、そんなやり取りをZさんとしたを覚えている。
つまり、ソンなコンなで、子どもたちの思いも、関係諸氏の喜びも期待も、申し訳ないが、素直に受け入れるわけにはいかない。できればやめていただきたい。と、宣うのだ。
いったい、誰が、誰がそんなコトを宣い出したのか。
行政か。
教育委員会か。
管理職か。
まさかの、現場の先生か。
それとも、保護者たちか。
頭の中で、驚きと失望と憤りとのチャンプルーが出来上がってしまいそうになりながら、私は、いわゆる「短絡的」とは、まさに、こういうコトをいうのだろうな、と、あらためて、つくづく実感することとなる。
前向きな次の一手を考えない、考えようともしないこの国は、一対全体、なんなのだろう。
私の、この国に対する「ワンダーランド、ワチャワチャワチャ」感は、とどまることなく、グングンと、トンでもなくイヤな膨張の仕方をしていく。(つづく)