ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.127

はしご酒(2軒目) その二十九

「コノチガイ ハ オオチガイ」②

 「小学校の卒業式に袴(ハカマ)を着たい」

 ナニ気にボンヤリと、TVでニュースを見ていたZさん、おもわず、その画面に向かってガッツポーズをとってしまった、らしい。

 卒業式に袴を着たい、という、この子どもたちの熱き思い。に、関係諸氏の喜びもまた、相当なものであったのではないか。まさに、着物の、袴の、復権、捲土重来。そして、未来への希望。が、ジワジワっと膨らんでいくのを感じたに違いない。と、熱く熱く語っていた、Zさん。

 ところが。

 にもかかわらず、そんな「よしよしよし!」ムードに激震が走った、というのだ。

 その激震が走るまで、突っ込みどころなど微塵もあろうはずがない、と、思っていた、とZさん。そして、Zさんから、その話のつづきを聞くまでは、そんなコト、思いもしなかった、私。

 ところがどっこい。

 そうは問屋が卸さないのが、この国。この、ワンダーランド、ニッポン、チャチャチャ、ワチャワチャ、ワチャ、なのである。ホントに、もう、ワチャワチャ。

 華美になる。

 華美になる?

 貧富の差の助長。

 貧富の差の助長?

 華美?、貧富の差?、助長?。といった想定外のワードに耳を疑ってしまいつつ、そんなやり取りをZさんとしたを覚えている。

 つまり、ソンなコンなで、子どもたちの思いも、関係諸氏の喜びも期待も、申し訳ないが、素直に受け入れるわけにはいかない。できればやめていただきたい。と、宣うのだ。

 いったい、誰が、誰がそんなコトを宣い出したのか。

 行政か。

 教育委員会か。

 管理職か。

 まさかの、現場の先生か。

 それとも、保護者たちか。

 頭の中で、驚きと失望と憤りとのチャンプルーが出来上がってしまいそうになりながら、私は、いわゆる「短絡的」とは、まさに、こういうコトをいうのだろうな、と、あらためて、つくづく実感することとなる。

 前向きな次の一手を考えない、考えようともしないこの国は、一対全体、なんなのだろう。

 私の、この国に対する「ワンダーランド、ワチャワチャワチャ」感は、とどまることなく、グングンと、トンでもなくイヤな膨張の仕方をしていく。(つづく)