ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.129

はしご酒(2軒目) その三十一

「サイゴ ハ カネメデショ」

 「最後は金目(カネメ)でしょ」

 当時、ソレなりに幅を利かせていた某国会議員による悲しき迷言である。

 が、それが彼の本心であるのか、しかも確信犯的なものであるのか、それとも、失言であるのか、はたまた、単なるいいそこまちがい(全く知らなかったのだけれど、コレって「言い損ない」と「言い間違い」との合体ギャグであるらしい)であるのか、は、今となっては、(少なくとも、彼に会ったこともない私には)わからない。

 しかしながら、この「最後は金目でしょ」は、この国が抱えている、なにかトンでもない疾病のようなモノを、如実に、端的に、言い表しているような気がしてならない。

 つまり、この国は、カッコよく言えば、「経済」立国。などということになるのだろうけれど、結局は、トドのつまりは、「金目でしょ」立国。なのだ、というコトを、彼は、リスクを冒しながらも、我々シモジモであるエラクナイ一般ピーポーたちに知らしめんがために、声高らかに言い放ってくれた、わけだ。実にご苦労さまなことである。

 そう、金目でしょ立国。

 たしかに、そうなのかもしれない。

 そうなのかもしれないけれど、カネ(メデショ)、カネ(メデショ)、カネ(メデショ)、カネ(メデショ)、で、ホントにソレで、ソンなコトで、いいのだろうか。

 ん~、ひょっとしたら、もう、いいわけないと、皆、わかってはいるのだけれど、そうでなければならないほど、この国は、キレイごとでは済まされない、どうしようもないトコロまで、すでに、きてしまっているというコトなのだろうか。

 「茹で落花生、食べます?。奄美大島から取り寄せたんですけど、これがなかなか・・・」

 お兄さんが話し終えないうちに、ほぼ同時に発せられた、私の「いただきます」とOくんの「いただきまっせ~」とが、グチャッと「いいたただだききままっすせ~」と妙にハモる。

 そして、早速いただいた茹で落花生は、少し透明感のあるような艶やかな(見た目だけでなく)香りと味が、ジュワ~ッと口の中で広がって、ほんの、ほんの少しだけ、私の頭と心の中が、浄化されたような気がした。(つづく)