ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.614

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五十五

「タスケル ト スクウ」②

 「もう一方の、救、は、そんなモンじゃなかった!、わけ」

 やっぱり!、と、心の中で小さなガッツポーズ、の私。

 「とくに、救、の、左。まさかのその元は、ナンだったと思う?」

 左。救の左。求める。きゅう・・・。

 「キュ~ッとくる、みたいな、そんな感じですか」、と、苦しまぎれに一応答えてはみる、私。

 「キュ~ッと、か~。でも、それ、いい線いっているかも」

 いや、いい線なんていっているわけがない。おそらく、リップサービスというヤツたな、と、訝(イブカ)る。

 するとAくん、ナニを思ったのか、突然、私の首を両手で絞めるような素振りを見せながら、「キュ~ッと殺処分された獣の皮、らしい」、と。

 あまりの想定外さに、一瞬、言葉を失いそうになりつつも、あらためて、救、の、左、の、求、を、頭に思い描いてみる。

 「・・・あっ、あ~、上から見たところか~、なるほど、見えないことはない、かな」

 一旦、なんとなくそう見えたりすると、一層、ドンドンと獣の皮に見えてきたりするものだから、不思議だ。

 「でも、それがナゼ、救う、に、繋がっていくのでしょうか」

 短い間(マ)を空けたあと、つまり・・・と、ひとまず呼吸を整えてからAくんは、そのナゼに、ユルリと答え始める。(つづく)