はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と九十二
「ハレル~ヤ!」
ヘブライ語の「神を褒め称えよ」という意味であるらしい「hallelujah (ハレル~ヤ)」も、若者たちにかかると、「マジでヤバい」みたいなコトに、意味に、なってしまうものだから、実に興味深い。と、Aくん。またまたナゼか、ハレルヤの発音が、メチャクチャ、いい。
「そんなハレルヤなんだけれど、レーナード・コーエンの、その♪hallelujah が、いや~、渋くて、ホント、イイんだよね~」
レ、レーナード・コーエン?
知らない。聞いたこともない。
申し訳ないが、コーエンといえば、コーエン兄弟。このところ、ちょっとご無沙汰しているけれど、『ブラッド・シンプル』、『ファーゴ』、『バーバー』、『ノーカントリー』、と、誰もが、犯罪に、否が応でもズルズルと、みたいな、そんなテイストが妙に心地よくて、結構、お気に入りなのである。
などと、コーエン兄弟の珠玉の映画たちを、アレコレ、振り返って悦に入っていると、またまたAくん、ユルリと、静かに、それでいて重厚に、力強く、歌い出す。
♪ アファダワ~、スィ~クレットコ~ドゥ
ダッ、ディッヴィッ、ブレイド、ニブ、
リ~ズロ~ドゥ
ダッ、ユ~ド~ンリリケ~ァ
フォミュ~ズィック、
ドゥ~ユ~
ウェリッゴ~ズ、ライク、ディス
ダフォ~スダフィス
ダ、マイナ~フォ~ダ、メイジャリ~フ
ダッフォ、キン、コンボ~ズ、イン、
ハ~レル~ヤ~
ハレル~ヤ~
ハ~レル~ヤ~
ハレル~ヤ~
ハ~レル~ウウウ~ウ~ヤ~
妙にネイティブな「hallelujah」とは、打って変わって、見事なまでのカタカナ英語による熱唱なのだけれど、ナゼか心に沁みるその歌いっぷりに、おもわず、不覚にも聴き入ってしまった。
ハレルヤ、か~。
この星のそこかしこで、あまりにも身勝手で愚かな権力者たちに、巻き込まれ、振り回され、痛めつけられ、命までも奪い取られた罪なき一般ピーポーたち。そんなピーポーたちへの鎮魂歌のようにも聴こえてくる。
いつか、真っ黒く、分厚い、あの雲の隙間から、陽の光は差し込んでくるだろうか。
いつか、晴れるか。
いつか、きっと、ハレルヤ。
ハ~レル~ヤ~!
(つづく)