ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1161

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と九十二

「ハレル~ヤ!」

 ヘブライ語の「神を褒め称えよ」という意味であるらしい「hallelujah (ハレル~ヤ)」も、若者たちにかかると、「マジでヤバい」みたいなコトに、意味に、なってしまうものだから、実に興味深い。と、Aくん。またまたナゼか、ハレルヤの発音が、メチャクチャ、いい。

 「そんなハレルヤなんだけれど、レーナード・コーエンの、その♪hallelujah が、いや~、渋くて、ホント、イイんだよね~」

 レ、レーナード・コーエン?

 知らない。聞いたこともない。

 申し訳ないが、コーエンといえば、コーエン兄弟。このところ、ちょっとご無沙汰しているけれど、『ブラッド・シンプル』、『ファーゴ』、『バーバー』、『ノーカントリー』、と、誰もが、犯罪に、否が応でもズルズルと、みたいな、そんなテイストが妙に心地よくて、結構、お気に入りなのである。

 などと、コーエン兄弟の珠玉の映画たちを、アレコレ、振り返って悦に入っていると、またまたAくん、ユルリと、静かに、それでいて重厚に、力強く、歌い出す。

   ♪ アファダワ~、スィ~クレットコ~ドゥ

        ダッ、ディッヴィッ、ブレイド、ニブ、

     リ~ズロ~ドゥ 

     ダッ、ユ~ド~ンリリケ~ァ

        フォミュ~ズィック、

     ドゥ~ユ~

        ウェリッゴ~ズ、ライク、ディス

        ダフォ~スダフィス

        ダ、マイナ~フォ~ダ、メイジャリ~フ

        ダッフォ、キン、コンボ~ズ、イン、

        ハ~レル~ヤ~

     ハレル~ヤ~

        ハ~レル~ヤ~

        ハレル~ヤ~

        ハ~レル~ウウウ~ウ~ヤ~

 妙にネイティブな「hallelujah」とは、打って変わって、見事なまでのカタカナ英語による熱唱なのだけれど、ナゼか心に沁みるその歌いっぷりに、おもわず、不覚にも聴き入ってしまった。

 ハレルヤ、か~。

 この星のそこかしこで、あまりにも身勝手で愚かな権力者たちに、巻き込まれ、振り回され、痛めつけられ、命までも奪い取られた罪なき一般ピーポーたち。そんなピーポーたちへの鎮魂歌のようにも聴こえてくる。 

 いつか、真っ黒く、分厚い、あの雲の隙間から、陽の光は差し込んでくるだろうか。

 いつか、晴れるか。

 いつか、きっと、ハレルヤ。

 ハ~レル~ヤ~!

(つづく)