はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と九十
「コメ モンダイ! コメ モンダイ?」
「トにもカクにもナンやカンやとイロイロあるが、とりあえず、今は、『米』に尽きる、かもな」
コ、コメ?、コメに尽きる?
「コメ、ヨネ、マイ、ベイ、メートル、アメリカ」
あ、あ~、米。米ね。
「読み方もイロイロだけれど、その由来も諸説イロイロ。僕的には『米には八十八人の神さんが宿っている』という説を推したいんだけどね」
「88人の神さま、ですか」
「そう。だって米って漢字、漢字の『八』、『十』、『八』だろ」
八、十、八?
ん、んあ、あっ、ホントだ、八十八だ。
「神さんが八十八人もだぜ。ソレぐらい、古(イニシエ)よりメチャクチャ大事な食材だった、と、いうことなんだろう」
た、たしかに。
米は、この国を、この国のピーポーたちを、下支えし続けてきたと言っても過言ではない、かもしれない。
「まさに、米の国、ですね」
「そう、その通り、米の国。米づくりの国だ」
ただし。
ココにきて、というか、以前から、というか、気になって気になって仕方がないコトもないわけではない。
奇妙な、あの、減反政策。
困難な、黒字化。
切実なる、後継者不足。
必然的に、生産者の高齢化。
ヤタラと目にするようになってきた、耕作放棄地。
・・・
「今」
ん?
「今、巷を賑わしまくっている米問題は、米の問題で非(アラ)ず」
えっ。
「むしろ、米が、米づくりが、米をつくる人々が、軽んじられている問題、だと、僕は思っている」
軽んじられている、問題、か~。
「楽観的過ぎる能天気な一般ピーポーやらコメンテーターやらが宣うわけよ」
ん、ん?
「米?、ほとんど食べないし。太るらしいし。米の価格の高騰?、輸入米が、備蓄米が、パンが、あるじゃん。そもそも、なんで、農業だけ守るんですか。と、きたもんだ」
ん、んう、うっわ~。
「見事なまでの教育の成果、だろ」
「きょ、教育の成果、ですか」
「そう。学校教育、のみならず、メディアやらナンやらカンやらの総力を挙げて、米に宿る八十八人の神さんを軽んじてきた、どころか、足蹴にしてきた、ということなんだろうよ」
なんだか、思いっ切りバチが当たりそう。
ピーポーたちの命に、ダイレクトに関わってくる農業さえも守れないこの国に、明るい未来があるとは、到底、思えない。(つづく)
追記
買い占め?、売り惜しみ?、米不足?、米の高騰?。など、不本意ながらもイロイロあったりするけれど、いずれにせよ、生産者さんたちは、とくに小規模農家さんたちは、苦しいまま。
そして、そんなコレまでの国の愚策を、無策を、誤魔化すかのような、目を晦(クラ)ますかのような、備蓄米の放出劇。放出喜劇。を、有り難(ガタ)がる一般ピーポーたち。
もう、憤りも、悲しさも、飛び越えて、笑けてさえくる。