はしご酒(Aくんのアトリエ) その五十四
「タスケル ト スクウ」①
「助ける」と「救う」との、その違いってドコにあると思う?、と、独り言(ゴ)つるようにボソリとAくん。
そんなこと、考えたこともなかった。
「助ける、と、救う、との違いですか」
「そう。この二つは根本的に違うモノなんじゃないか、と、僕は睨んでいるんだな」
助ける、の、「助(ジョ)」。
救う、の、「救(キュウ)」。
漢字の構造みたいなものは似ているように見えなくもない。老いさらばえて視力でも低下すれば、同じ漢字に見えるかもしれない。
「実はね、助ける、の、助、という漢字。の、右も左もその元は、農具らしいんだよな」
「農具、ですか」
「そう。労働を助ける農具。からの、助」
となると、おそらく、ソコから、の、「救」はそんなモンじゃない!、感、満載の、そんな、Aくん得意のワールドワイドな展開に、なっていくのだろうな、と、ブワンと期待を膨らます。(つづく)