はしご酒(2軒目) その五十八
「エーアイ!」
神の領域、という言葉がある。そして、文字どおりその領域は、太古より、人類ごときには、アンタッチャブルな領域であった、のである。
そんな神の領域に踏み込もうとするとき、必ず人類は、このセリフを吐いてきた。
「絶対に大丈夫」
誰しもが、どこかで耳にしたことがある、楽観主義の極みのようなセリフである。
だがしかし、多大なる犠牲と引き換えに、この世には「絶対に」などというものはない、ということを、我々は学んだ。
にもかかわらず、またしても、絶対に安全、絶対に平和利用、と信じて疑わないシモジモじゃないエライ人たちの、その頭の中には、いったい、ナニがあるのだろう。
残念ながら、この世には、悪魔は必ず存在する。そして、人のココロの中もまた、ヤヤもすると、悪魔にとって、かなり良好な住環境になったりするのである。
だというのに、なぜ、人類は、安全神話の鎧を身に纏い、神の領域にまで踏み込もうとするのか、シモジモであるエラクナイ一般ピーポーの私には、到底理解などできない。
たとえば、限りなく神の領域感満載の人工頭脳「AI」。はたして、人工頭脳「AI 」は、たとえば、仮に、ナニかの弾(ハズ)みで人類が悪魔と与(クミ)した場合でさえも、愛を、真実の愛の深さを、振り回されることなくシッカリと理解することができるのだろうか。
「人工頭脳え~あいは、ええ、あいか、わるい、あいか、っちゅうことを、言いたいわけやね、それって、あいあ~る、に、あいは、あ~るのか~、っちゅうことと、さりげなく、つながってるわけやよね、ええやんね~、ええわ、それ、ほんまに」、とOくん。
もちろん、口には出さなかったけれど、そして、Oくんには大変申し訳ないけれど、微妙に、それは、違います。(つづく)