はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と九十四
「ヒガイシャハ イツダッテ ジャクシャ」
贅沢をしたいのではない。ただ、地道に、コツコツと働き、小さな幸せに包まれながら、慎ましく生きていたいだけなのだ。にもかかわらず、そんなコトでは納得など、絶対にしそうにない、欲という欲にまみれまくったシモジモじゃないエラそうなピーポーたちの愚行によって、いつだって、弱者は、その犠牲となり、そうした細(ササ)やかなるナニもカモを見事なまでに奪われてしまう。そして、ソコに残ったモノは、怒りと、憎しみと、絶望だけだ。と、もう、顔中が、「この世の終わり」まみれのようになりながら、苦々しく吐き捨てるがごとく語り始めた、Aくん。おそらく、あの、無慈悲なまでにヒステリックな武力の行使、に、Aくんは、ただならぬ危機感を抱いているのだろう。そんな思いがニガニガと、ニガニガとコチラまで伝わってくる。
権力者は。
権力者は、いったい、ナニを思い、ナニを考え、ナニを目指しているのだろう。できることなら、一度でいいから、権力者たちの脳の、脳ミソの、その中を覗いてみたいぐらいだ。
あの人たちの脳内にあるモノはナンなのか。
どんなモノを脳内に詰め込めば、あのような行動に出ることができるのか。
まさに、まさに、ナゾがナゾ呼ぶナゾナゾワールド。その闇は、気分が悪くなるほど、ド、深い。
「そもそも、そもそもだ。一般ピーポーたちの『脳』は、普通、そういったトンでもなく強引で暴力的な、権力欲やら支配欲やらといった怪しげなモノなんぞには興味を示さないはずだろ、違うかい」
違わない。そんなモノに、普通、興味など示さない。
「にもかかわらず、そんな糞(クソ)みたいなモノに、異常なまでにウハウハと興味を示すあの人たちの脳ミソには、ひょっとしたら、捨て置けないほどのナニか大きな問題が、欠陥が、あるのかもしれないよな」
捨て置けない、大きな、欠陥、か~。
「できることなら、一度、古今東西の権力者たちの脳ミソを、全て、CTやらMRIやらナンやらカンやらで、ジックリと調べてみたいものだ。権力者特有の共通するナニかを見つけることができるかもしれないぜ」
ふわ~。
あり得るかもしれない話なだけに、ジワリ、恐ろしくなる。
「トにもカクにも、歪みまくった傲慢な正義感もどきで突き動かされた無能で強欲な権力者たちが、この星を、この星の罪なきピーポーたちを、ピーポーたちの細やかなる生活を、メチャクチャにして悦に入っている。当然のことながら、そんなコト、到底、許されるコトではない。こんなふうに、いつだって、いつだって被害者は、弱者たちだということだ」
(つづく)