ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1281

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と十二

「マダ ソンナコト イッテイルノカヨ」②

 「法に背き、不正に手を染めたとしても」

 えっ。

 で、出たな、Mr.唐突。

 「大抵は大目に見てもらえる。役職を外されたり離党を強いられたり、みたいなコトはあっても、ソレって、全然、法の裁きじゃねえし」

 たしかに、Mr.唐突が言うように、ソレは、法の裁きではない。

 「そうした不正を、本気で究明していこう、などとは、サラサラ、思ってなんかいないのだろう」

 思ってなんかいないだろうな。

 「ただ、ひたすら、世間が、そのコトに興味がなくなって、忘れ去る、忘れ去ってくれる、その時を、待っているとしか思えないんだよな。というか、ひょっとしたら、世間は、そんなモノに、そもそも、ソレほど興味なんてないのかもしれない」

 「私も、そう思います。そのおかげで、あの人たちって、不正を、何度も何度もヘラヘラと繰り返していますもんね」

 「繰り返しているよな~、イヤになるほどヘラヘラと」

 「ソレぐらい、世間は、悲しくなるほど忘れっぽい、ということなんでしょうね」

 「そう、忘れっぽい。悲しくなるほど忘れっぽい。だから、その度に思い出すわけよ。口ずさみたくなるわけよ。わかる?」

 なるほど。

 で、あなたの過去など知りたくないの、か~。

 今宵3度めの熱唱をムゲに阻んでしまったこと、ほんの少し、後悔する。ほんの少しだけれど。

 「まだ、ナニも、解明なんてされていないのに。まだ、誰も、法に則って公正に裁きなんて受けていないのに。ズルズルと、ズルズルと、世間は、『まだそんなコト言っているのかよ。他にもっと大事なコトがあるだろ』みたいなコトに、どうしてもなっちまう。コレって、いったい、ナゼなんだろうな」

 ナゼなのだろう。

 コレもまた、立場主義?

 コレもまた、柵(シガラミ)?

 コレもまた、フェッター?

 コレもまた、鉄の鎖?、拘束具?

 ・・・なのだろうか。

(つづく)