はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と四
「ホウドウ ニ コソクナ ニオイ」
政権が揺れ動いていた時は、11位、なんてこともあったらしいのに、揺れ動くことさえなくなったこの今では、もう、70位前後で定着。という、ナンとも情けない有り様だ、と、嘆くことしきりのAくん。
ん?、あ、あ~、あのコトだな、きっと。
「世界各国の報道の自由度ランキング、ってヤツのことですか」
「そう、ソレだよ、ソレ。皮肉だよな。政権が揺れ動きまくっていた時の方が自由であった、なんてさ」
たしかに、たしかに興味深い。
「揺れ動くコトが、ホントにイヤなのでしょうね。だから、いかなる手を使っても、報道から自由を奪う」
「歪んだ安定。権力者にとって好都合な安定。しかも、その邪道なる安定を、一般ピーポーたちまでもが望み始めている、という闇」
「だから、70位前後で定着、などという情けないコトになっていたとしても、ほとんどの人たちにとっては大問題にならない。というわけですか」
「そう、その通り、ならないね。全く、ならない」
ん~。
報道の自由が保障されてこその、メディア。どころか、そうであってこその、民主主義。で、あるはずなのに。
「たとえば」
ん?
「たとえば、つい最近の、この報道一つとってみても、姑息な臭いに満ち満ちているように思えてならないんだよな~」
姑息な、そんな臭いに満ち満ちた報道、とは、いったい。
「ソレが、コレ」
おもわず、身を乗り出す。
「報道自由度、日本は68位。今年、3ランク上昇」
ん、ん~?
「ナゼ、『今年、3ランク上昇』みたいな小見出しを付けるかな~」
あ、あ~。
「『G7で最も低い』なら理解できるが、ナゼ、『3ランク上昇』なんだよ。71位と、ドコが、ナニが、違うというのか」
た、たしかに。
こういうのを、まさに、目クソ鼻クソというのだろう。
「なんかさ~、気持ち悪い意図が、ソコに、あるとしか思えないんだよな~、僕には」
(つづく)