ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1073

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と四

「ホウドウ ニ コソクナ ニオイ」

 政権が揺れ動いていた時は、11位、なんてこともあったらしいのに、揺れ動くことさえなくなったこの今では、もう、70位前後で定着。という、ナンとも情けない有り様だ、と、嘆くことしきりのAくん。

 ん?、あ、あ~、あのコトだな、きっと。

 「世界各国の報道の自由度ランキング、ってヤツのことですか」

 「そう、ソレだよ、ソレ。皮肉だよな。政権が揺れ動きまくっていた時の方が自由であった、なんてさ」

 たしかに、たしかに興味深い。

 「揺れ動くコトが、ホントにイヤなのでしょうね。だから、いかなる手を使っても、報道から自由を奪う」

 「歪んだ安定。権力者にとって好都合な安定。しかも、その邪道なる安定を、一般ピーポーたちまでもが望み始めている、という闇」

 「だから、70位前後で定着、などという情けないコトになっていたとしても、ほとんどの人たちにとっては大問題にならない。というわけですか」

 「そう、その通り、ならないね。全く、ならない」

 ん~。

 報道の自由が保障されてこその、メディア。どころか、そうであってこその、民主主義。で、あるはずなのに。

 「たとえば」

 ん?

 「たとえば、つい最近の、この報道一つとってみても、姑息な臭いに満ち満ちているように思えてならないんだよな~」

 姑息な、そんな臭いに満ち満ちた報道、とは、いったい。

 「ソレが、コレ」

 おもわず、身を乗り出す。

 「報道自由度、日本は68位。今年、3ランク上昇」

 ん、ん~?

 「ナゼ、『今年、3ランク上昇』みたいな小見出しを付けるかな~」

 あ、あ~。

 「『G7で最も低い』なら理解できるが、ナゼ、『3ランク上昇』なんだよ。71位と、ドコが、ナニが、違うというのか」

 た、たしかに。

 こういうのを、まさに、目クソ鼻クソというのだろう。

 「なんかさ~、気持ち悪い意図が、ソコに、あるとしか思えないんだよな~、僕には」

(つづく)