はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と十三
「ドジョウ ノ ジダンダ?」
「無謀で、身の程知らず」
ん?
「弱者が、己の力を弁(ワキマ)えず強者に挑む、その愚かさ」
んん?
「その儚(ハカナ)さ」
んん、ん~。
ど、どうした、Aくん。
その唐突さが、いつになく弱々しく、自虐気味だ。
「ある朝刊のコラムの中にあった『泥鰌(ドジョウ)の地団駄(ジダンダ)』というコトバが、なんだか妙に忘れられなくて」
ど、泥鰌の地団駄?
初めて耳にする。
「その『泥鰌の地団駄』なるものの意味が『無謀で身の程知らず』なのですか」
「らしいな。実は、僕も、そのコラムを読むまでは、そんなコトバ、聞いたこともなかった」
「地団駄を踏む、なら、よく聞きますし、使うことも。ん、あ、あっ、と、いうことは、泥鰌ごときでは地団駄さえ踏めない、と」
「いう意味なんだろうよ。もう、メチャクチャ、メチャクチャ酷(ヒド)いコトバだよな」
たしかに、メチャクチャ酷いコトバだ。
「弱者は黙ってろ。無駄な悪あがきはするな。では、あまりにも酷い、酷すぎると思います」
「ん~。・・・でも、無理やり好意的に解釈すると、ちょっと意味合いが変わってくるかも」
ん?
「ひょっとしたら、泥鰌が地団駄を踏むときは、トコトン戦略を練れ。とね」
せ、戦略を練れ?
戦略を、練れ、か~。
ん、ん~、・・・。
要するに。
ヤミクモに勢いだけで挑んでも、バカみたいに無駄死にするだけ。英知を養え。頭を使え。工夫をしろ。譲れるトコロは譲れ。肉を切らせて骨を断て。もちろん不本意だろうけれど、そうでなければ弱者の思いなど、ダーク塗(マミ)れの巨大な壁に跳ね返されるだけ、か。
モヤモヤとしたモノが微妙に引っ掛かるものの、ソレなりに、なるほど、なるほどな。(つづく)
追記
地団駄は「じたたら」。足で踏むタイプの「ふいご」だという。
くしくも、ある政党の、野党の、新トップは、己を一匹の泥鰌に例えていた。
はたして、泥鰌は、思いっ切り地団駄を踏めるか。
泥鰌の地団駄。の、その行方が、実に興味深い。