ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1312

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と四十三

「カネ カネ カネ~」

 「金持ちに子どもはいない」

 ん?

 「相続人がいるだけだ」

 ん、ん~。

 「数あるユダヤの格言の中の一つ」

 「深いですね」

 「そう、深い。カネ(金)がもつ陰と陽。暗と明。裏と表。を、見事に言い表した格言と言っていい」

 ん、ん、ん~。

 人がつくり出した「カネ」によって、人は、振り回される。心、乱される。己を、見失う。そして、たいていの場合、トドメに、失ってはいけない大切なモノを失ってしまう。実に悲しいコトだが、大いにあり得る。

 「政治家たちを見てみろよ。己が政治家になるために、カネ、カネ、カネ、の、大合唱だろ」

 おっしゃる通りだ。

 あの人たちが宣う「政治にはカネが掛かるんだ」は、ほぼ、「選挙にはカネが掛かるんだ」。カネがなければ選挙に勝てないと、選挙に勝つためにはカネがいるんだと、本気で思っている。

 ならば、カネが掛からない、カネを掛けない、そんな選挙にしましょうよ。そうなれば、様々な立場に置かれている様々なピーポーたちも立候補ができるはず。さ、一丸となって、費用対効果の高いスリムな選挙というものを目指して取り組んでいこう!。とは、まず、ならない。ならないのである。

 「♪カネ~カネ~カネ~、♪カネ~カネ~カネ~」

 突然、不気味に歌い出す、Aくん。

 「あの人たちって」

 「♪カネ~、カ、ん?、んん?」

 もう少し、熱唱したかった様子の、Aくん。

 「あの人たちって、己が当選すること、だけのように思えてならないのですが」

 「そう見えてしまうよな。だから、カネ、カネ、カネ。そのためには手段を選ばない。ほとんど内容なんてない政治資金パーティーに明け暮れて、裏金だってつくる。もちろん、魂だって売る。政策だって歪める。みたいな、そんな「カネ、カネ、カネ」絡みの情けないなコトに、どうしてもなってしまいがちだ」

 ふ~、カネ、カネ、カネ、か~。

 もちろん、心ある政治家、政治関係者たちも数多くおられる。ご多分に漏れず、皆、苦労されている。カネが掛からない選挙が実現すれば、その苦労もイクバクかは軽減されるに違いない。

 「ほら」

 ん?

 「カネ、カネ、カネ。に、執着し過ぎたがゆえに、コイン怪獣カネゴンになってしまった、少年」

 あっ、カネゴン

 その怪獣なら存じ上げている。もちろんリアルタイムに見たわけではないが、たしか、両親までもがカネの虜(トリコ)になってしまってカネゴンに、という衝撃のラストシーンであったかと。

 「コミカルながらもディープに、シュールに、描かれていた、あの、特撮テレビドラマ『ウルトラQ』の、第一作。だったと思う」

 カネゴンが第一作だったんだ。

 「経済的にトンでもなく右肩上がりの高度成長期の頃であっただけに、あえて、あえて警鐘を鳴らそうとしたんだろうな。ヤヤもすると、ズルズルと傾倒していきがちなカネカネカネの拝金主義に」

(つづく)