ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1091

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と二十二

「ドロドロ ドローン!」

 「泥(ドロ)を塗る、って、言葉、あるだろ」

 「ど、泥を、塗る、ですか」

 「そう、泥を塗る。メチャクチャいいモノなのに、バカがソレに泥を塗って台無しにする」

 「あ~、ありますね、ソレ。とくに、兵器。兵器なんて、その泥を塗ってしまったコトによって生み落とされた典型的な悪例だと思います」

 「同感。ナンやカンやと言い訳はし放題だとは思うけれど、ドコからドウ見ても、大量殺人ツール、以外の、ナニモノでもないわけだからな」

 「たしかに、大量殺人ツール、以外のナニモノでもないですね」

 「しかし、平和な世界を築くための正義のツールだと信じて疑わないピーポーたちも、少なくない」

 平和な世界を築くための正義のツール、か~。

 「攻撃されたらドウする。ヤラれっぱなしでいいのかよ。自分の身内が殺されても黙っているのか、君たちは。という論理立て。しかし、すでに大量の『核』がこの世にある以上、その論理立ては通用しない。ま、共に消え去り果てる覚悟があるなら、ソレはソレで一つの道なのかもしれないが」

 「どうせなら、刺し違えてやる、ってヤツですか」

 「刺し違える、どころか、この星をも巻き込んだ無理心中に近いな」

 「地球規模の、無理心中、か~」

 そういえば、もう、すでに、この星を何回も破壊できるだけの「核」兵器がある、と、聞いたことがある。

 「でだ、無理やり話を元に戻させてもらうが、あの、ドローン。あのドローンも、横道に逸れずに平和利用の道を突き進んでさえいれば、利便性の塊(カタマリ)としてナンの問題もなかったのだろうけれど、残念ながら、アッと言う間に泥を塗られてしまった」

 おっしゃる通り。攻撃する側の被害の軽減と、比較的、罪悪感に苛(サイナ)まれずにすむ、というコトもあってか、アッと言う間に、一気に、無人大量殺人兵器として確固たる地位を確立したような気がする。

 「ひょっとすると、ドローンのその特性上、泥を塗られやすいという懸念から、『ドローン』と名付けられたのかもな」

 さすがにソレは違うと思う。

 どうせなら、まず無理だとは思うけれど、平和利用以外に使用した途端にドロドロに溶けるように造られていればよかったのに。そんな、「ナニがナンでも平和利用」システムからのネーミングであれば、どれほど素敵であったろうと、心から思う。(つづく)

 

 

追記

 悪夢のG7

 あのヒロシマで、「世界平和のために『核』は必要」と宣った、あの人たち。

 ならば、なぜ、ヒロシマでなければならなかったのか。

 ヒロシマは、平和利用ではなく、政治利用されたのか。

 ドロドロに泥を塗られたヒロシマは、きっと、きっと悔し涙を流している、はず。