はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と七
「ケンリョク ガ ウゴキダス トキ」
「権力がトンでもない悪事を働き、別の権力が、その権力の悪事が本当に悪事たるかを立証しようと動き出す」
ん?
「それぞれの権力が、それぞれシッカリと独立しているのは好ましいコトだ」
ん~。
Aくんは、いったい、ナニを言おうとしているのか。
「だけれども、権力が動き出す時って、どうしても、『なんか怪しいぜ』って、妙にゾワゾワしてしまう」
「怪しいぜって、ゾワゾワ、ですか」
「そう、ゾワゾワ。ナゼ、今、このタイミングで、ある日突然に、でもなく、ちょっと時間的余裕までもたせて、しかも、事前に、メディアにリークまでして」
あっ、あ~。
「権力が動き出す時。権力が、その権力を行使する時。その裏に、ソコに、本当に『闇』はないのか、ってね」
あのコトだな、きっと。
「そもそも、権力が、権力を握る者が、悪事を働いたコトが大問題で、ソレに対して権力が動き出すことは当たり前なんだけれど。また別のナニか得体の知れない怪しげなモノが背後で蠢(ウゴメ)き始めているような気がしてならないんだよな~、僕は」
「ソレは、その目的がナンなのか。って、コトですか」
「目的?。そう、そうだな、ソレだ。権力が動き出す時の、その、本当の、真実の、目的がナンなのか。ソレが、とても気になる」
「単純に、『やっちまえ~』などと応援している場合じゃない、と」
「真実の目的が、真っ当な正義、公正、愛、に、裏打ちされたモノであるなら、そうした応援は心強いものになるとは思うけれど。万が一、仮にもその目的が、悪魔に唆(ソソノカ)されたモノであったとしたら、おそらく、『しめしめ、世論なんてチョロいもんだぜ』以外のナニモノでもない、ってコトになってしまうだろ」
ん~。
さすがAくん。見事なまでの「へそ曲がり」ぶりだ。なかなかソコまで懐疑的にはなれない。
しかし、大いなる権力を握っている者たちが動き出す時、私たちは、ソレぐらいの気持ちでもって、そうした動きをクールに注視し続ける、ぐらいで、丁度いいのかもしれないな。なんとなく、そんな気がする。(つづく)