ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1176

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と七

「ケンリョク ガ ウゴキダス トキ」

 「権力がトンでもない悪事を働き、別の権力が、その権力の悪事が本当に悪事たるかを立証しようと動き出す」

 ん?

 「それぞれの権力が、それぞれシッカリと独立しているのは好ましいコトだ」

 ん~。

 Aくんは、いったい、ナニを言おうとしているのか。

 「だけれども、権力が動き出す時って、どうしても、『なんか怪しいぜ』って、妙にゾワゾワしてしまう」

 「怪しいぜって、ゾワゾワ、ですか」

 「そう、ゾワゾワ。ナゼ、今、このタイミングで、ある日突然に、でもなく、ちょっと時間的余裕までもたせて、しかも、事前に、メディアにリークまでして」

 あっ、あ~。

 「権力が動き出す時。権力が、その権力を行使する時。その裏に、ソコに、本当に『闇』はないのか、ってね」

 あのコトだな、きっと。

 「そもそも、権力が、権力を握る者が、悪事を働いたコトが大問題で、ソレに対して権力が動き出すことは当たり前なんだけれど。また別のナニか得体の知れない怪しげなモノが背後で蠢(ウゴメ)き始めているような気がしてならないんだよな~、僕は」

 「ソレは、その目的がナンなのか。って、コトですか」

 「目的?。そう、そうだな、ソレだ。権力が動き出す時の、その、本当の、真実の、目的がナンなのか。ソレが、とても気になる」

 「単純に、『やっちまえ~』などと応援している場合じゃない、と」

 「真実の目的が、真っ当な正義、公正、愛、に、裏打ちされたモノであるなら、そうした応援は心強いものになるとは思うけれど。万が一、仮にもその目的が、悪魔に唆(ソソノカ)されたモノであったとしたら、おそらく、『しめしめ、世論なんてチョロいもんだぜ』以外のナニモノでもない、ってコトになってしまうだろ」

 ん~。

 さすがAくん。見事なまでの「へそ曲がり」ぶりだ。なかなかソコまで懐疑的にはなれない。

 しかし、大いなる権力を握っている者たちが動き出す時、私たちは、ソレぐらいの気持ちでもって、そうした動きをクールに注視し続ける、ぐらいで、丁度いいのかもしれないな。なんとなく、そんな気がする。(つづく)