はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と二十九
「ウマイコト タチマワッタナ」
結局のところ、政局なんて、所詮、戦略的勝ち負け。上手いこと立ち回ったな、以外のナニモノでもないだろ、とAくん。
ん~、戦略的勝ち負け、か~。
今宵、何度か登場した、この「戦略的」というワード。そう、「してやったり」の戦略的だ。もちろん、私も好きではない。
「某国民営放送の大型連続時代劇を見ていても、ソレは、痛烈に感じるんだよな」
あ~。
たしかに、とくに、天下を取った天下人(ビト)に、私もソレを強く感じる。
「だから、むしろ、天下を取れなかった無念のサムライたちに、人気が集中するのかもしれませんね」
「上手いこと立ち回ったヤツに、感情移入はしにくいからな」
「ですが、ナニがナンでも、ドンな手を使ってでも、天下を取りたい、あるいは、すでに、プチ天下は取ったぜ、みたいなピーポーたちにとっては、やはり、そうした天下人は、最高にスペッシャルな憧れの存在なのでしょうね」
「だろうな。いわゆる負け組に、興味なんてないだろうから」
負け組に、興味なんてない、か~。
おそらく、そうやって世の中は、ドンドンと分断されていくのだろう。
そう、「勝てばいいってものではないだろ」、vs(バーサス)、「所詮、そんなものは負け犬の遠吠え」。この両者の間にある溝は、あまりにも深く、悲しいかな、そう簡単には埋まりそうにない。(つづく)