はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と八十九
「チュ~リツ~ノッチュ~キミノチュ~」
全ての国民に、あなたが政治的に公平だと思うテレビ番組、を、尋ねてみるといい。さすれば、いかに政治的公平なるモノが絶対的なモノではなく、それぞれの考えやイデオロギーや価値観や好き嫌いによって左にも右にも上下にもブレまくりまくるモノだ、というコトがわかるはずだ。ましてや、時の政権が宣う「政治的公平性」など、最も信用の置けない危険な戯言(タワゴト)に過ぎないと言い切ってもナンら差し支えない。
コレは、私が、以前から注目しているある若者の言葉である。微妙なニュアンスの違いはあるかもしれないが、ほぼ、こういう内容であったかと思う。
するとAくん、またまた、・・・。
「♪チュ~リツ~ノッチュ~、キミノチュ~」
わっ。
「♪アイルギッブュ~オ~マイラ~」
わ~。
「つまり、つまりだ。君が自信満々に宣う中立は、本当に、中立の、中の、正真正銘の中立だと、本当に言えるのかい、ということ」
中立、の、中の、正真正銘の中立?
「そもそも中立の定義って、ナンだと思う?」
中立の定義、か~。
ソレは、私も、気にはなっていた。が、残念ながら、ズッとハッキリしないままだ。
「そもそも、そもそもだ。『中立』ソレ自体にカチッと固まったモノがあるわけじゃないだろ」
おっしゃる通りだ。
具体的にコレが中立、などというモノがあるわけではない。
「上手くは言えませんが、数多の意見、考え、価値観があってこその『中立』だと思います」
「そう、そういうことだ。だから、まず、多くの異なる意見に、先入観やら偏見やら固定観念やら好き嫌いやら抜きで、クールに耳を傾けることが大事。ソレができなくて、ナニが、ドコが、中立なんだよな、ってコトだよな」
「オマエがオマエの価値観で、勝手に中立ぶるな、ということですよね」
「そうそう、そういうこと。一般ピーポーならまだしも、たとえば圧倒的な権力を握る権力者が、己にとって好都合な中立を『コレこそが中立だ~!』などと豪語し始めたとしたら、いや~、危ない危ない、危なすぎる」
なるほど、たしかに目一杯、危ない。
「ようするに、身勝手に偏った政治的公平性を声高(コワダカ)に訴える独裁者も、充分に生まれ得る、ということだ」
政治的公平性を訴える、独裁者、か~。
トテツもなく恐ろしい響きだ。
「だからこそ、正真正銘の中立、チュリツ~ノッチュ~、で、ないと、ダメだってこと」
なるほど、なるほどな~。
するとAくん、先ほどよりも一層声高らかに歌い出す。
「♪チュ~リツ~ノッチュ~、キミノチュ~、アイルギッブュ~オ~マイラ~」
(つづく)