ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.977

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と八

「チャカス! イイネ!」

 そのベースに、学びと気付きの欠如があるのだろうけれど、と、ユルリと語り始めたAくん。さらに、それ以上に気になるのが、心の、欠如、欠落、とまでは言わないまでも、その有り様(ヨウ)の歪みだと、言及してみせる。それでもまだまだ言い足りないのか、ジワジワと音量を上げながらグイグイと、グイグイと語り続ける。

 「圧倒的な権力に対してモノ申すように、どちらかと言えばそうした権力の逆側の、そんな一般ピーポーたちに対して、モノ申してしまう。相手を選ばないこうした姿勢を公平と宣う方々もおられるようだが、そもそも圧倒的な権力者と力なき一般ピーポーは公平ではないだろ。前段階で公平でない者に対して同じようにモノ申すことが公平であるとは到底思えない。そんな力なき者たちに、モノ申す。イチャモンをつける。糾弾する。懲らしめる。息の根を止める。の、そのあとに、いったい、ナニがあるというのか。あらためて、あらためて声を大にして言っておこう。僕たちがしなければならないコトは、圧倒的な権力を握るピーポーたちの悪行、不正、差別、といったトンでもないものに対する『モノ申す』であるはず。そのコトを忘れてしまったら、もうソレは限りなく『イジメ』に近い、と、僕なんかは思ってしまのだけれど、どうだい、君はどう思う?」

 う、うわ~。

 消化し切れないな、さすがに。

 「ん~、どう答えていいのか。ただ、つい最近、ズンと心が重たくなったことがあるのです」

 「おっ。是非聞かせてほしいね~」

 「上手く言えるかどうか。ほら、権力の一方的な押し付けに対して、地道に反対の声を上げ続けている人たち、おられるじゃないですか」

 「目の前の壁は高く、強固で、なかなか打ち砕けそうにはないけれど、挫(クジ)けず頑張り続けている人たち、いるよな~」

 「結局、傍観することしかできない私なんかが、こんなコトをエラそうに宣うこと自体、憚(ハバカ)ってしまうのですが、でも、そうした人々の頑張りを、いとも簡単に茶化(チャカ)しているとしか思えない言動を目にするにつけ、さらには、そうした茶化したような言動に賛同して、いとも簡単に押されたとしか思えない数多の『いいね!』を目にするにつけ、世の中の人々の心が、ジワリジワリと歪み、荒(スサ)んでいっているな、と、思えてならないのです。仮に、ソコに、いかなる理由やら意図やらがあったとしても、そうした人たちの地道な頑張りを茶化すことは絶対に許されないはず。私は、心からそう思います」

 「茶化す、ね~。たしかに、ある意味、糾弾したりするよりもウンと質(タチ)が悪く、罪深いかもしれないな」

(つづく)