はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と九十
「オキャクサマ ハ カミサマデス」
「このところ、ジワジワと増えつつあるように思えてならない」
ん?
「商売がらみのトラブルやら犯罪やら」
んん?
「で、とくに今、あらためて、その重要性をヒシヒシと感じる」
んんん?
「あの、近江商人たちの経営哲学の金字塔である『三方よし』と双璧をなす、と言っても過言ではない」
んんんん?
「経営者の心得、心構え。ソレは」
んんんんん?
「お客さまは~神さまです」
お、お~。
伝説の、三波春夫でございます、だ。
「もちろん、お客さまと言えども、クレーマーやらモンスターやら、と、イロイロあったりもするけれど、ソチラ側の問題はソチラ側の問題としてソチラ側にお任せするとして、コチラ側はコチラ側として、ダレがナンと言おうと『お客さまは神さまです』は、けっして揺らぐことのない不動の心構え、というわけだ」
不動の心構え、か~。
たしかに、皆が皆、「お客さまは神さまです」と肝に銘じていれば、詐欺やら横領やらペテンやらボッタクリやらといったトンでもないコトは、そう簡単には起こらないだろうな、とは思う。
「ところが、ところがだ。一部の商売ピーポーたちは、どうしても、ドチラかというと『カミ(神)さま』というよりは、むしろ、『カモ(鴨)さま』になりがち。そう、『お客さまはカモさまです』」
カモさまです、か~。
「そして、カモがネギ背負(ショ)ってやって来る」
カモが、ネギ背負って、か~。
「たとえば人も羨むような高学力。であるにもかかわらず、その高学力ってヤツが、『英知』に繋がらずに『悪知恵』しか生み出さない、となると、もう、悲劇以外のナニモノでもないだろ。ホント、情けなくなるよ」
「お客さまを、実に好都合なネギを背負ってやって来る『カモ』としか見ない、見れない、ようなコトが罷り通れば、おそらく、世の中の全てが『カモがネギ背負ってやって来る』の悪しき連鎖で塗(マミ)れまくってしまうでしょうね」
「そう、その通り、連鎖、連鎖。そんな高学力崩れの悪知恵の塊(カタマリ)みたいな悪党もまた、また別のトンでもない悪党の『カモ』になる、というようなコトも、充分にあり得りまくる、そんな連鎖連鎖の『カモがカモ呼ぶカモカモワールド』。自業自得とはいえ、ソコから、罪なきピーポーたちへも飛び火し、そのワールドがドンドンと広がっていくような気がマジでするだけに、恐ろしいよ、まったく」
(つづく)