ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.646

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八十七

「イイワケ イイワケガナイ!」

 魔が差した。

 調子に乗りすぎた。

 バレないと思った。

 みんなヤッてるし。

 もともとダークな私だし。

 そんなワケで、トンでもないことをしでかしてしまったとしよう。しかも、バレてしまってドウしよう、みたいな、そんな窮地に陥ったとき、その人間の更なる本性が垣間見られる、ってことがあるワケよ、とAくん。

 「ありますね、あると思います。ま、そもそもがそういうダークなハートの方なワケだから、更に垣間見られるその本性も、遜色ないほどのそういう本性なのでしょうね」、と私。

 「そう、そういうこと。で、そんな中で、屈指のダメさを誇っているのが、僕なんかも場合によっては、時折、お世話になったりしている、あの、言い訳、ってヤツなワケ」

 言い訳、か~。

 「なんかさ~、アッサリ謝罪でもしておけば、それなりに責任を取ってしまえば、ま、今回ぐらいは大目に見てあげよう、などということになるかもしれないだろ、と、僕なんかは思うんだけれど、にもかかわらず、悪びれる様子もなく、そういう認識はなかった、とか、あくまでプライベートなことでございます、とか、そんな話は一切しておりません、とか、老化のせいなのかどうかは定かではないが、全く記憶にございません、とか、などと、どこからどう見ても、どう聞いても、それは言い訳だろ、としか思えないようなことを、ヌケヌケと、シモジモじゃないエライ人たちが宣ってしまったりするものだから、多くの一般ピーポーたちをガッカリさせたり、イライラさせたり、してしまうワケなんだよな~」

 言い訳。

 おもわず言い訳したくなってしまう、その、B級ハートの戦士たちの気持ちも、わからないワケではない。Aくんのみならずこの私も、残念ながら、そうした「言い訳」に、人並み以上にお世話になっていたりするからである。

 でも、言い訳する当人が、強大なる権力を握り、そして甚大なる責任を抱えている以上、やはり、申し訳ないが、その言い訳に、歩み寄ることも寄り添うこともできそうにない。

 姑息な保身臭漂う言い訳が、いいワケがないのである。(つづく)