ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.578

はしご酒(Aくんのアトリエ) その十九

「シリタクナイノ」①

 そんなコトは、万が一にもあってはいけないコトなんだろうけれど、たとえば仮に、ある国の、イニシアチブを握るような権力者が、エッ!?、としか思えないようなトンでもない愚行をやらかしてしまった、としよう。そして、さらに致命的なことに、自ら、正直に、その愚行の全貌を、真相を、白日の下に晒(サラ)すことができない、と、するならば、僕なんかは、その一点突破だけのためにでも、政権交代もまたやむなし、と、思ったりするのだけれど、君は、どう思う?、と、かなりの直球でズバンと投げ込んでくる、Aくん。

 あまりに直球すぎて、どう打ち返していいのか、どう答えていいのか、少々、戸惑う。

 ココはAくんを真似て、見逃す、黙りこくる、という手もあったのだけれど、気合いを入れて思い切って、漠然とながらも思っていることをバットに込めて、フルスイングを試みる。 

 「私のことは、この際、ちょっと横に置いておくことにして、人間には、二つのタイプがあるように思えるんです」 

 「ほ~、興味深いね~、その二つのタイプとは」

 「ナニがナンでも真相を知りたい、というタイプと、ソンなことをシテまで真相なんて知りたくない、というタイプ」

 「真相なんて知りたくない、か~・・・」

 そう呟くとAくんは、なんと、またまた、黙りこくってしまう。(つづく)