ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.569

はしご酒(Aくんのアトリエ) その十

「ワンパク バンパク タンパク」①

 何度も何度も足繁く通った、なんてこと、そうそうあるもんじゃない、と、得意の唐突さで、Aくん。

 足繁く、などということ、・・・ないかな、たしかに、ないな。

 「ソコまでの価値を見出だせない。モチベーションもワクワク感も、ソコまで維持できない。つまり、ソコに行き着くまでに、飽きる!、普通は、当然の如く、飽きる!」、と、足繁く通えないその理由を、彼なりに分析する、Aくん。

 「おっしゃる通り、馴染みの居酒屋やら蕎麦屋やらなら、足繁く、ということもあろうかとは思いますが、それ以外となると、ちょっと思い付かないですね」、と私。

 すると、Aくん、瞬く間に半世紀ほど遡(サカノボ)り、なんとなく妙に嬉しそうに語り出す。

 「人類の進歩と調和、なんだよ、人類の進歩と調和!」

 人類の進歩と調和?、どこかで聞いたことがあるような、ないような、そんなフレーズ。

 いや、ある。

 エキスポ、EXPO'70。

 間違いない、間違いないと思う。

 「あの、伝説のEXPO '70、大阪万博、ですよね」

 「そう、あの、大阪万博。当時、純粋無垢で好奇心旺盛まみれの少年であった僕にとって、その、大阪万博は、何度も何度も足繁く通わせるだけの、飽きさせないナニかを持ち合わせていた、ということなんだろうな~」、と、遥か遠くを見るように、Aくん。

 しかしながら、「もう、あんな気持ちになることもないだろうし、何度も何度も足繁く通う、なんてこともないだろうと思う」、とも言い足す。

 「それは、ナゼですか」

 「もちろん、僕自身が年を取ってしまった、ということもあるのだろうけれど、・・・」、と、語り始めるや否や、またまた、そのまま黙りこくってしまう。(つづく)