はしご酒(4軒目) その百と九十九
「トンデモナイコトガ⑶ 」①
制作中、気分転換にラジオのスイッチを入れてみると、と、話し始めたAくん。どうやら、どこかの行政のトップを選ぶ、選挙活動真っ最中であったころの話題であるようだ。
そのときのDJの、なんてことのない、ちょっとしたコメントが、妙に、心に引っ掛かってしまったんだ、と宣う。
「ナニが引っ掛かかってしまったんですか」、と問う私。
「トンでもないことが起こっているときに、そのトップが代わってしまって大丈夫なのでしょうか、速やかに、ちゃんと、引き継いていけるのでしょうか、という、DJのこの言葉、コレって、どういう意味だと思う?」、と問い返してくるAくん。
そのトンでもないことの中身にもよるのだろうけれど、素直に感じたまま答えてみる。
「だから、いまのトップのままでいい、という意味だと思いますが」
ラジオとはいえ、選挙活動期間中でのこのコメントは、投票誘導と取られても致し方ない、とも、思う。
「そう思うよね。トップが再選を狙っているだけに、マズいでしょ、さすがにコレは」
Aくんも、同じようなことを感じているようだ。
「トップである当人が、トンでもないことの張本人である場合は別として、トンでもないことが起こっている有事に、市民が守りに入る、保守的になる、というのは、よくあることのような気がします。そういう意味では、再選を狙っているトップからしてみれば、好都合な選挙のタイミング、と、言えなくもない、かな」、と私。
するとAくん、「しかし、そのDJが言おうとしたことは、ソウではなかった」、と。
「えっ、違ったんですか」
「そう。なんとなく聞いているうちに、ボンヤリとして、よくわからなかった、その、もの、の、その、輪郭、が、だんだんとハッキリしてきた、というわけ」
いったい、どう違ったと、どうハッキリとしてきたと、いうのだろう。
全く見当すらつかない、その別の意味が、とても気になってくる。(つづく)