ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.458

はしご酒(4軒目) その百と九十九

「トンデモナイコトガ⑶ 」①

 制作中、気分転換にラジオのスイッチを入れてみると、と、話し始めたAくん。どうやら、どこかの行政のトップを選ぶ、選挙活動真っ最中であったころの話題であるようだ。

 そのときのDJの、なんてことのない、ちょっとしたコメントが、妙に、心に引っ掛かってしまったんだ、と宣う。

 「ナニが引っ掛かかってしまったんですか」、と問う私。

 「トンでもないことが起こっているときに、そのトップが代わってしまって大丈夫なのでしょうか、速やかに、ちゃんと、引き継いていけるのでしょうか、という、DJのこの言葉、コレって、どういう意味だと思う?」、と問い返してくるAくん。

 そのトンでもないことの中身にもよるのだろうけれど、素直に感じたまま答えてみる。

 「だから、いまのトップのままでいい、という意味だと思いますが」

 ラジオとはいえ、選挙活動期間中でのこのコメントは、投票誘導と取られても致し方ない、とも、思う。

 「そう思うよね。トップが再選を狙っているだけに、マズいでしょ、さすがにコレは」

 Aくんも、同じようなことを感じているようだ。

 「トップである当人が、トンでもないことの張本人である場合は別として、トンでもないことが起こっている有事に、市民が守りに入る、保守的になる、というのは、よくあることのような気がします。そういう意味では、再選を狙っているトップからしてみれば、好都合な選挙のタイミング、と、言えなくもない、かな」、と私。

 するとAくん、「しかし、そのDJが言おうとしたことは、ソウではなかった」、と。

 「えっ、違ったんですか」

 「そう。なんとなく聞いているうちに、ボンヤリとして、よくわからなかった、その、もの、の、その、輪郭、が、だんだんとハッキリしてきた、というわけ」

 いったい、どう違ったと、どうハッキリとしてきたと、いうのだろう。

 全く見当すらつかない、その別の意味が、とても気になってくる。(つづく)