ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.454

はしご酒(4軒目) その百と九十五

「オキナワ ノ スペシャルティ ノ ソコヂカラ」①

 私が、ある機会に、沖縄で飲ませていただいたコーヒーは、いままでのコーヒーのイメージとは、少し、どころか、結構な距離がある。もちろん、焙煎の技にもよるのだろうが、まず、香りが素晴らしい。そして、心して一口、口に含む。雑味がなく、どこまでもクリーン、かすかに果実味さえ感じる。

 さらに特筆すべきは、いつまでもノドの奥に残る、その、蜂蜜のような、なんとも言えない余韻。この感じは、なかなか得られるものじゃない。

 もちろん、ナニも加えずに、ブラックで飲むことをお勧めしたい。どうしてもブラックが苦手、であるのなら、クッキーやカヌレのような焼き菓子を、合間に、ほんの少し食べて、お口の中でマリアージュ、というのはいかがだろう。とりわけ、カヌレとの相性は、格別にいいようである。

 せっかくだから、もっと沖縄の風を感じたい、という方には、純黒糖がいい。黒糖の小片が、沖縄のコーヒーと相まって、沖縄の風を、存分に感じさせてくれるはずだ。

 私が、以前に、あるミニコミ誌に書かせてもらった一文である。

 なぜに、随分と以前の、この一文のことを思い出したのか。

 それは、奈良の、遊休農地のヒノヒカリ酒のアテとして出された、サッと焼かれたお肉から漂う香りが、あまりにコーヒーコーヒーとしていたものだから、なんとなく、あの日の、あの沖縄のコーヒーの思い出が、突然、ブワンと蘇った、というわけだ。

 Aくんが頼んだようなのだけれど、それにしても、このタイミングで、なにゆえに「お肉」なのだろう、と、思いはしたけれど、そんなことは、Aくんからしてみれば、大きなお世話に違いない。どんなタイミングであろうとも、誰がナンと言おうとも、注文したいときに注文することが、食べたいときに食べることが、もっとも美味いのである。(つづく)