はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と二十七
「グルグルパ~!」
「みんな、グルなんじゃないのか、って思うこと、ないかい」
グ、グル?
毎度のことながら、唐突感丸出しに切られたAくんの口火に、なかなか慣れることができないまま、またまたドップリと戸惑ってしまう。
「結局、多少の考えやら立場やらの違いはあるけれど、目の前の、お金やら利権やら甘い汁やらに、到底、背を向けることなんてできるわけもなく、どうしても擦り寄ってしまうのもまた自然の摂理、なのかもな」
し、自然の摂理?
所詮、巨大なモノには抗(アラガ)えない、ということなのだろうか。
「つまり、仮に、シモジモじゃないエライ人たちによるトンでもない不正があったとしても、なぜか、ナンとしてでもその不正の真相を白日の下に晒(サラ)し、ナニがナンでも正したい、という思いがそのまま、一般ピーポーたちの中から大きな世論のうねりへとブワンと膨らんでいかない、のは、まさに、そういうことによるものなんじゃないのか、って、どうしても思ったりするわけよ」
だ、だから、グルなんじゃないのか、か~。
「昔、クルクルパ~、という、随分と相手を小バカにしたモノ言いが、結構、流行っていたんだけれど、知ってるかい」
「もちろん、知っています。そういえば、耳にしなくなりましたね」
「かなり差別的だからな」
た、たしかに、かなり差別的だ。
「でも、グルになってしまったことで、正しきことのナニもカもをパ~にする、などということになろうとしているのなら、失礼は承知の上、あえて、あえて言わせてもらおう」
あ、あえて?
「ひょっとしたら、この世の中、グ、ル、グ、ル、パ~、グルグルパ~に成り果てかけているんじゃないのか、ってね」
グ、グルグル、グルグルパ~?
う~ん・・・。
な、なるほど、グルグルパ~、か~。(つづく)
追記
細やかなるプチ仏教徒もどきである私は、当然のごとく、微塵もクリスチャンではないのだけれど、それでもやっぱり今宵は、普段、滅多に口にしないケーキを頬張りつつ、この星のそこかしこが全て平和になることを願って・・・
メリ~クリスマス!