ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.326

はしご酒(4軒目) その七十七

「サンポウヨシ!」②

 「三方、よし、いくぞ~」、と、得意の前頭葉の老化の典型のようなシュプレヒコールを一人であげて喜んでいる(ように見える)Aくんは、どことなく琉球硝子っぽい、夕日のような色合いのグラスに注がれた実に珍しい沖縄の純米吟醸酒に口をつける。

 僕はスッキリしていて好きだな~、沖縄のトロピカルな風も感じるし、などと、かなりご満悦な様子。

 昨今、温暖化の影響だろうか、そこかしこで、酒づくりも大変だ、と、よく耳にする。そんな時代の、あの沖縄での酒づくりなのである。ジンジンと熱き職人魂を感じる。

 そんなお酒と神、神さま、との関係も、古来から親密だ。

 さぞかし、神さまも、お酒に目がないのだろう、程度に軽く思っていたら、その親密な関係の真相は、もう少し別のところにありそうな気配。おそらく、お酒というものが、神が宿る大自然からの奇跡的な恵みそのもの、だということからの、切っても切れない間柄ということなのだろう。

 熱き職人魂のつくり手と、好きなことを宣いながらチビチビやる呑み手と、そして、水やら土やら空気やら太陽やらナンやらカンやらの大自然と、の、まさに、三方よし、なのかもしれないな、などなどと、あらためて思ってみたりしているうちに、Aくんの「三方、よし、いくぞ~」という、ちょっと怪しい一人シュプレヒコールにも、なぜか妙に清き一票を投じてみたくなる。(つづく)