ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.347

はしご酒(4軒目) その九十八

「チカチカスウチカ」

 よほど、自分自身でジャッジすることに自信がもてないからなのだろうか、なんでもかんでも「数値化」の時代だと宣っても過言ではない、とAくん。

 Aくんが宣うところの「数値化」が、私が思うものと同一なのかどうかは定かでないけれど、そういった数値化も、ものごとをわかりやすく可視化するという一点に絞れば、必要悪という気もしなくはない。

 しかしながら、そうはいっても、巷に蔓延(ハビコ)る評価やらランキングやらに対して、とやかく言われたくない、大きなお世話、という思いもまた、私の中に、あるにはある。

 「算数が、数学が、数字が、幼少の頃から、どうしても好きになれないまま現在に至っている僕だから、数値化至上主義を敵に回すようなもの言いをする、と思われてしまうのも困るのだけれど、せめて、そういったものが、人間が本来もっている感性やら判断力やらナンやらカンやらを、蝕(ムシバ)むかもしれないぞ、という危惧ぐらいは、もっていてほしいんだよな」、とAくん。

 権力という傘の下で、人が人を数値化する、という、ごく身近な評価地獄から始まって、この星のそこかしこの隅々まで、得体の知れないモンスターヒョーカーたちによる評価から生まれた数値化の数々が、目一杯チカチカと、私たちを翻弄させてくれたりするものだから、やっぱり、ドドッと疲れてしまう。(つづく)