はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と九十九
「グリーンウォッシュ! グリーンウォッシュ?」
「自然に優しいとかクリーンとかエコとかSDGs(エスディージーズ)とかが声高に叫ばれるのは、ま、いいコトなんだろうけれど」
ん?
「悲しいかな、大抵のコトには表と裏があって、ご多分に漏れず、そういった真っ当なライトサイドにも、ダークサイドがあるわけ」
んん?
「で、ソコでは、必ずと言っていいほど、詐欺まがいの姑息なあの手この手が蠢(ウゴメ)いていたりする」
「詐欺まがいのあの手この手、ですか」
「そう。たとえば、グリーンウォッシュ(greenwashing )」
グ、グリーン、ウォッシュ?
「コレなんかも、その、最たるモノの一つかも」
初めて耳にする。
グリーンウォッシュ。
グリーンを、ウォッシュ?
緑を、洗濯?
「ソレ、どういう意味なのですか」
「自然に優しいもクリーンもエコもSDGsも、ダークサイドでは、残念ながら、その振りをしているだけの紛(マガ)い物だということだ」
まがいもの?
「紛い物。贋(ニセ)物。イミテーション。たとえば、超巨大な木造建造物。木を使っているから地球に優しいみたいなイメージばかりをピックアップして謳い文句にしがちだけれど、じゃ、その大量の木材はドコから調達したの?、自然破壊ではないの?、その耐久性は?、未来に向けての存在意義は?、トンでもなく高額なその価格に見合った価値は、本当に、ソコに、あるわけ?」
ん~。
「本来は、そうしたコトこそが大事なはずなのに、そんなコトは二の次で、『コレはね、こんなに素晴らしいモノなんですよ』などという、詐欺まがいの、得体の知れない美辞麗句もどきばかりが蔓延(ハビコ)る」
な、なんと。
「ちなみに、『washed -up』には『成功の見込みがない』、『You're green 』には『君は未熟だ』、という意味があるらしいんだよね。なんとなく、グリーンウォッシュのその怪しげな真髄を、見事なまでに言い表しているような気がしないかい」
なるほど、なるほどな。
(つづく)