ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1168

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と九十九

「グリーンウォッシュ! グリーンウォッシュ?」

 「自然に優しいとかクリーンとかエコとかSDGs(エスディージーズ)とかが声高に叫ばれるのは、ま、いいコトなんだろうけれど」

 ん?

 「悲しいかな、大抵のコトには表と裏があって、ご多分に漏れず、そういった真っ当なライトサイドにも、ダークサイドがあるわけ」

 んん?

 「で、ソコでは、必ずと言っていいほど、詐欺まがいの姑息なあの手この手が蠢(ウゴメ)いていたりする」

 「詐欺まがいのあの手この手、ですか」

 「そう。たとえば、グリーンウォッシュ(greenwashing )」

 グ、グリーン、ウォッシュ?

 「コレなんかも、その、最たるモノの一つかも」

 初めて耳にする。

 グリーンウォッシュ。

 グリーンを、ウォッシュ?

 緑を、洗濯?

 「ソレ、どういう意味なのですか」

 「自然に優しいもクリーンもエコもSDGsも、ダークサイドでは、残念ながら、その振りをしているだけの紛(マガ)い物だということだ」

 まがいもの?

 「紛い物。贋(ニセ)物。イミテーション。たとえば、超巨大な木造建造物。木を使っているから地球に優しいみたいなイメージばかりをピックアップして謳い文句にしがちだけれど、じゃ、その大量の木材はドコから調達したの?、自然破壊ではないの?、その耐久性は?、未来に向けての存在意義は?、トンでもなく高額なその価格に見合った価値は、本当に、ソコに、あるわけ?」

 ん~。

 「本来は、そうしたコトこそが大事なはずなのに、そんなコトは二の次で、『コレはね、こんなに素晴らしいモノなんですよ』などという、詐欺まがいの、得体の知れない美辞麗句もどきばかりが蔓延(ハビコ)る」

 な、なんと。

 「ちなみに、『washed -up』には『成功の見込みがない』、『You're green 』には『君は未熟だ』、という意味があるらしいんだよね。なんとなく、グリーンウォッシュのその怪しげな真髄を、見事なまでに言い表しているような気がしないかい」

 なるほど、なるほどな。

(つづく)