ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.341

はしご酒(4軒目) その九十二

「ソコカラガ!」①

 勇気を与えてくれる素晴らしい楽曲が、教科書に載る。

 価値観の多様性を感じさせてくれるアートが、教科書に載る。

 心をときめかせ、心に沁み入る詩が、教科書に載る。

 そうしたものがもつパワーを感じ取ってほしい、心の肥やしにしてほしい、そんな思いが、ソコには、満ち溢れている。

 いろいろと問題がある教科書ではあるけれど、そんな感じで、いいトコロだって、もちろん、あるわけだ。

 しかしながら、たとえば、その心に沁み入る詩の作者が、ナニがあったのかはわからないけれど、ナニかに取り憑かれ、自分自身を見失ってしまった、としよう。そして、そのことが、世間を大きく騒がしてしまう。

 所詮、人間ごとき、なんだから、そんなことは、当然起こりうるのである。だからこそ人間なんだ、と言ってもいい。

 おそらく、シモジモじゃないエライ関係者たちは、突然、ジタバタと、どうしたものかと悩み、そんなものはハナからソコにはなかったんだよ、のごとく、教科書から取り除こうと、消し去ろうと、躍起になるかもしれない。

 でもね、僕は、本当の教育というものは、まさに、ソコからなんじゃないのか、ソコにこそあるんじゃないのか、って、思うんだよな。

 私に、一切、付け入る隙を見せないまま、ひたすら怒涛の勢いで語り続けるAくんは、よほど気に入らないナニかがあるのだろう、ジリジリとしたものを放ちながら、一向に、その終止符を打つ気配を見せない。(つづく)