ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1053

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と八十四

「ヘンケン サベツ ブンダン」

 「歪(ユガ)み偏(カタヨ)った愛、正義感、仲間意識、といったものが、ある、厄介なモノを生み落とし、育み、助長し、蔓延させる」

 ん?

 ある、厄介な、モノ?

 「たとえば、圧倒的な権力を握る権力者たちによって引き起こされた紛争が、侵略が、戦争が、あるいは、場合によってはトンでもない感染症のようなモノまでもが、一般ピーポーたちの心を、見事なまでに歪ませ、偏らせてしまう」

 か、感染症のようなモノ、まで?

 「先ほどの、そう、『慮(オモンパカ)る』。ソレだよ、ソレ。相手を全くもって慮れなくなるような、そんな愛なら、正義感なら、仲間意識なら、もう、そんなモノ、ハナから、ない方がマシだとは思わないかい」

 極端かとも思うが、たしかに、マシかもしれない。

 そもそも、相手を慮れないようなモノを、私は、愛とも、正義感とも、仲間意識とも、思わない。

 「そして、生み落としてしまうんだよ。差別を、偏見を、分断を」

 あ、あ~、なるほど、なるほどな・・・。

 歪み偏った愛が、偏見を。

 歪み偏った正義感が、差別を。

 歪み偏った仲間意識が、分断を。

 か~・・・。

 仮に、Aくんの、その指摘通りだとしたら、コレほど、厄介で恐ろしいコトは、ないかもしれないな。

(つづく)