はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と二十
幻聴?
国の運営に関わるエライ人たちのダークな呟きが聞こえてくる。
・・・
金(カネ)がいる。
どうにかして捻出しなければならない。
とりあえず、消費税に手をつけるか。
しかし、闇雲(ヤミクモ)に消費税を上げる、というわけにはいかないな。
そのタイミング次第では、おそらく、国民の反発を買ってしまう。
じゃあ、どうする。
そうだ、まず手始めに免税事業者でいこう。
免税事業者が免税事業者であることを、自ら放棄するようなシステムをつくればいいんだ。
よしよし、コレでいこう。
・・・
幻聴だな。でも、かなり、リアル。
その、ヤタラとリアルな幻聴の中でホクソ笑むエライ人たちが、考えに考え抜いてつくり上げたシステム、ソレが、あの、噂の「インボイス」というヤツなのだろう。
素人目線で見てみても、素人考えで考えてみても、どうもコイツ、ナンだか怪しい。ナニかが臭う。その怪しい臭いの元がドコにあるのか。残念ながら私には、このあたりが限界。
「ほら、あの、インボイス。私は、メチャクチャ怪しいと思っているのですが、どう思われます?」
いつものように、早々に煮詰まってしまったので、Aくんに助け舟を求める。
「インボイス、ね~。たしかにナゾめいている。どうだろう、コイツもまた他のモノと同じ手口で、ほとんどのピーポーたちが理解していないうちに、ドサクサに紛れて『Go!』、って感じなんじゃないの」
ドサドサに紛れてGo!、か~。
「だけど、間違いなく、小規模経営者、個人事業主、フリーランス、といったピーポーたちは、究極の選択を迫られることになるだろうな」
究極の選択?
おそらく、免税事業者が免税事業者であることを放棄するか否か、のコトを言っているのだろう。
そもそもインボイスってナニ?
の、その前に、ナゼ、免税だったのか。
免税でなければならない理由があるから免税であったはずだ。なのに、ナゼ、そんな究極の選択を強いられなければならないのか。
ますますナゾがナゾ呼ぶナゾナゾワールド。一層わけがわからなくなってきた。
「インボイスって、そもそもナンのことなのですか」
「インボイスかい。たしか、事務的な書類、請求書みたいな紙っ切れのことじゃなかったっけ」
請求書、か~。
「詳しいことは知らないけれど、その請求書なるモノがいただけない事業者との取り引きを難しいものにしてしまう、という弱者殺しのシステムなんだろうな」
「弱者殺しのシステム、ですか」
「そう。だって、そもそも免税されているのだから、その分の請求書なんて発行できないだろ」
あっ、あ~。だから、免税事業者が免税事業者であることを放棄しなければならなくなる、かもしれない。ということか~。
オボロ気ながらもナンとなく、徐々に、その輪郭が見えてきたような気がする。そして、見えてくればくるほどズンズンと、トンでもなく姑息な「弱者殺しシステム」だな、と、マジで思えてくる。(つづく)