ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1309

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と四十

「ハニートラップ ダッタ?」

 「不倫に現(ウツツ)を抜かしておいて、バレた途端に『ハニートラップだった』などと宣えるその神経のサイコパス感。も、また、実に政治家っぽいよな」、とAくん。

 神経のサイコパス感?

 は、さすがに、ちょっと、私には難解。でも、なんとなく、あのコトなんだろうな、ぐらいのことは、わかる。

 「私も、『実に政治家っぽい』とは思いますが、その場合の政治家は、政治家は政治家でも旧態依然とした古いタイプの政治家ですよね」

 「古いタイプ、ね~。ん~、たしかにそうかもしれねえな」

 「いくらなんでも、不倫相手との関係を『ハニートラップだった』なんて、普通、言えないでしょ」

 「言えんよな。ハニートラップだった、つまり、『色仕掛けによる諜報活動だった』、って、言ってるようなもんだからな」

 色仕掛けの諜報活動に、ハメられた、か。

 おそらく、満面、バカバカしい感満載で、「ハメられた。私はハメられただけなんだ。むしろ、私こそが被害者なんだ。が、通用するとは思えません」、と、私。

 すると、そんな私以上に、満面、呆れ果てた感満載で、「この社会は、男尊女卑なんだと。強尊弱卑なんだと。マジで思っているんだろ。でないと、ドコをドウ考えても、100歩、いや、1000歩譲っても、『ハニートラップだった』は、ないよな」、と、Aくん。

 ない。

 仮に、万が一、いや、億が一、たとえばドコかの女性諜報部員によるハニートラップであったとしても、大いなる責任ある立場の人間が、被害者面(ヅラ)して、恥ずかしげもなくイケシャ~シャ~と「ハニートラップだった」は、絶対に、ない。(つづく)