はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と三
「ニュー カイダンバナシ パラダイス」
「僕たちの一人ひとりの生活に、人生に、リアルにズシンと関わってくる、で、あろう、そんな政治絡みの話題が、灼熱過ぎるシーズンの一服の清涼剤にもなり得る、という、なんとも皮肉な話」、と、なにやらボソボソッと語り始めたAくん。
政治絡みの話題、が、一服の清涼剤、とは。
またまた、なんだかよくわからない。
「もちろん、爽やか系の清涼剤じゃ、ないけれど」
爽やか系の清涼剤じゃ、ない?
「あたかも、あの、納涼三大怪談噺のように、、僕たちを、ゾワゾワ、ゾクゾク、ヒエヒエさせてくれるわけ」
あ、あ~、ソッチ系の清涼剤、か。
「お岩さんの『四谷怪談』。お菊さんの『皿屋敷』。そして、少しマニアックなお露さんの『牡丹灯籠』。と、いうように、理不尽極まりない悲運に見舞われた三大ヒロインの、三大恨み節と言ってもほとんど差し支えがない」
三大ヒロインの、三大恨み節、か~。
「そんなゾワゾワ、ゾクゾク、ヒエヒエを、この今、思いっ切り僕たちに提供してくれる『ニュー怪談噺パラダイス』系一服の清涼剤、が、先ほどの緊急事態条項やら、地震大国であるにもかかわらずの原発三昧やら、このところ、妙にカロリーベースでテクニカルに語られがちなヤタラ低い食品自給率やら、そして、ナンともカンともな損得勘定丸出しの癒着まみれのアレやらコレやら、だということだ」
ん、ん、ん~。
・・・たしかに、冷静に、真面目に、語れば語るほどその手の話が、メチャクチャ、ゾワゾワ、ゾクゾク、ヒエヒエ、の、ニュー怪談噺だと、ズンズンと思えてくる。(つづく)
追記
「ぞぞっと、涼しくなるお話。現実味があるのでなお恐ろしい」というコメントを頂戴する。
政治絡みの話が、ちょっとした怪談噺になる時代なのか、と、あらためて思う。
いつの日か、きっと、政治絡みの話が、ちょっとしたハートウォーミングな人情噺になる、ような、そんな時代になる、と、信じたい。