はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と三十八
「ブンカハッシンノ ニナイテ ダト」①
勝手な思い込みであった、というだけのことなんだろうけれど、と、ユルリと思わせ振りに語り始めたAくん。いつもながらの唐突感漂うプロローグではあるものの、ナゼか、ナニやら妙に期待感が、いつもより大きく膨らんだりする。
「ほら、あの」
ん?
「あの、大手広告代理店、大手広告代理店というヤツを、僕は、現代社会における文化の、文化発信の、担い手だと思っていたわけ」
「ぶ、文化発信の、担い手、ですか」
「そう。マジでそう思っていたし、学生の頃は、それゆえ憧れもしていた」
「しかしながら、過去形だということは」
「ナニやらどうも怪しい」
「怪しい、・・・ですか」
「末端の現場で、モノづくりに奮闘している人たちは、そんなことはないのかもしれないが、少なくとも、末端じゃないおエライ人たちは、文化の担い手などとは微塵も思っていないんじゃないか、ってね」
「そんなコトを思ってしまう、ナニかキッカケみたいなモノがあったのですか」
「広告」
「広告?」
「そう、広告。その広告が、国とか、権力とか、政治とか、に、ベチャッとへばり付き始めたあたりから、かな」
わ~、またまた、国、権力、政治、絡み、か~。
ナゼ、いつも、行くべきではない、行ってはならないソッチの方向に、ズルズルと、ベタベタと、流れていってしまうのだろう。
いい加減、ゲンナリする。(つづく)