ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1277

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と八

「ニンポウ アヤシサヲ サワヤカサデ ガクレ!」

  ♪みじ~んがっくれっだ

      か~えんのじゅつだ

      わる~いや~つらを

      や~っつ~けろっ

      ふじまる~

      ふじまる~

      しょ~ねん

      に、ん、じゃ~

 

 な、な、な、なに!?

 唐突に、またまた声高らかに歌い始めたAくん。このパターン、もう充分に慣れているはずなのに、不覚にも、毎度毎度驚かされてしまう。ま、幸い、街の居酒屋ではないので周りを気にする必要がない分、いつものハラハラ感はないが。

 「僕たちを煙(ケム)に巻く忍法みたいなもんだよな」

 ん?

 「つまり、真面目に真正面から政策論争、なんてことは、まず、しないってこと。とくに、グチャグチャッと怪しさに塗(マミ)れまくっているような時なんかは、とりあえず、ナンとなくの爽やかさで煙に巻いて逃げ切りを図る、みたいなことしか、考えてねえんだよな~あの人たちは」

 あ、あ~、あのコトか。

 「遅かれ早かれやって来るであろう己の選挙に有利になるなら、この際、政策なんかはドウでもよくて、とにかく上っ面の人気さえあれば、その顔を、トップに据えたいわけよ」

 う、わ~。

 「まさに、微塵(ミジン)がくれ、ならぬ、『中身の伴わないナンとなくの爽やかさで』がくれ」

 爽やかさで、がくれ、か~。

 ふ~。

 なんて稚拙で姑息な忍法なんだろう。

 少年忍者、風のフジ丸も、きっと、草葉の陰で泣いているはずだ。(つづく)