はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と七
「ナナジュウイ ノ ホウドウ?」
あっ、ソレなら私も存じ上げている。
「やったね~」
ん?、や、やったね~?
「さらにランキングを落として、なんと、180ヶ国中、70位」
あ、あ~、その「やったね」か。
「このところ、恥ずかしげもなくズッと低空飛行のままですよね」
「短期間だったけど、十数年前、あの人たちが下野した時だけは、たしか、10位台だったんじゃなかったかな~。ま、その後は、悲しくなるぐらいズルズルと低空飛行のまま。G7(ジーセブン)でも、もちろん最下位」
「でしょうね」
「でしょうね、って、おもわず漏らしてしまうほど、もう、誰も、この国のジャーナリズムに期待なんてしなくなってしまっているのかもな」
ん~・・・。
そういえば、つい最近、あるベテランのタレントさんもそのコトに触れ、憤りと嘆きとが合体したようなコメントをされていた。
そう、70位の報道。
ソレを聞かされる、見せられる、悲劇。
「そして、誰もが、皆、ただボンヤリと70位の報道を鵜呑みにする」
鵜呑みにする、か~。
誰もが皆、とまでは言わないが、たしかに、そんな感じなのかもしれないな。
「ほんの少し、この国の、報道のその裏側の闇にライトを当てるだけで、ドロドロとしたプンと臭う膿(ウミ)のようなモノが見えてくるんだがな~」
「でも、見えては困るのか、大抵の場合、ライトのスイッチはオフ(off )のまま、ですよね」
「そう。きっと余計なモノなんだろうな。だから、見ようとなんて、まず、しない」
それゆえ、70位の報道であっても、ナンの疑問ももたずに信じることができてしまうわけか。
ん~・・・。
しかし、ナゼ、この国の報道は、恥ずかしげもなく低空飛行のままなのだろう。不思議だ。受け取る側の問題点以上に、発信する側の問題点が、ズンズンと気になってくる。
「ナゼ、発信する側の『報道の自由』が、ソコまでグチャグチャに崩壊してしまったのでしょう」
するとAくん、蚊の泣くようなウィスパーボイスでナニやらブツブツと独り言ちたあと、ボソリボソリと。
「どうしても、圧倒的な権力に、スポンサーに、クレーマーに、視聴率に、売り上げ部数に、怯んでしまう。ナニがナンでも真実を報道するんだ、という気概が、気骨が、なくなりつつあるんだろう」
気骨、か~。
気が、魂が、宿りし骨。そう簡単には折れそうにない。そんな気骨が、いつのまにか、骨粗鬆症気味だということか。
「だけど、だけどだ。ジャーナリズムは、この国が、真っ当であるための最後の砦。気骨がなくなりつつあるなら、牛乳でも小魚でもナンでもいいから『魂のカルシウム』満点のアレもコレもをガンガン食べて、その気骨、最強の骨密度にしてくれよ。頼むよ、マジで」
魂のカルシウム、か~。
できることならその魂のカルシウム、私も、是非、いただきたい。(つづく)
追記
ある日のあるローカルニュース。
市長さんたちが挙(コゾ)って、実に楽しげに、ある政党のある党首候補者を応援する様子が。あたかも、その候補者を全県民あげて応援しているかのような、ほのぼのテイスト。
コレが、ニュース?
ナニかの、ダレかのための、印象操作。
その全てが作為的。
候補者の名前を出した時点で、見事なまでの偏向報道と思えるのだけれど、こんなのも許されてしまう70位の報道って、やっぱり、罪深い。