ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1276

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と七

「ナナジュウイ ノ ホウドウ?」

 「国境なき記者団による報道の自由度ランキング」

 あっ、ソレなら私も存じ上げている。

 「やったね~」

 ん?、や、やったね~?

 「さらにランキングを落として、なんと、180ヶ国中、70位」

 あ、あ~、その「やったね」か。

 「このところ、恥ずかしげもなくズッと低空飛行のままですよね」

 「短期間だったけど、十数年前、あの人たちが下野した時だけは、たしか、10位台だったんじゃなかったかな~。ま、その後は、悲しくなるぐらいズルズルと低空飛行のまま。G7(ジーセブン)でも、もちろん最下位」

 「でしょうね」

 「でしょうね、って、おもわず漏らしてしまうほど、もう、誰も、この国のジャーナリズムに期待なんてしなくなってしまっているのかもな」

 ん~・・・。

 そういえば、つい最近、あるベテランのタレントさんもそのコトに触れ、憤りと嘆きとが合体したようなコメントをされていた。

 そう、70位の報道。

 ソレを聞かされる、見せられる、悲劇。

 「そして、誰もが、皆、ただボンヤリと70位の報道を鵜呑みにする」

 鵜呑みにする、か~。

 誰もが皆、とまでは言わないが、たしかに、そんな感じなのかもしれないな。

 「ほんの少し、この国の、報道のその裏側の闇にライトを当てるだけで、ドロドロとしたプンと臭う膿(ウミ)のようなモノが見えてくるんだがな~」

 「でも、見えては困るのか、大抵の場合、ライトのスイッチはオフ(off )のまま、ですよね」

 「そう。きっと余計なモノなんだろうな。だから、見ようとなんて、まず、しない」

 それゆえ、70位の報道であっても、ナンの疑問ももたずに信じることができてしまうわけか。

 ん~・・・。

 しかし、ナゼ、この国の報道は、恥ずかしげもなく低空飛行のままなのだろう。不思議だ。受け取る側の問題点以上に、発信する側の問題点が、ズンズンと気になってくる。

 「ナゼ、発信する側の『報道の自由』が、ソコまでグチャグチャに崩壊してしまったのでしょう」

 するとAくん、蚊の泣くようなウィスパーボイスでナニやらブツブツと独り言ちたあと、ボソリボソリと。

 「どうしても、圧倒的な権力に、スポンサーに、クレーマーに、視聴率に、売り上げ部数に、怯んでしまう。ナニがナンでも真実を報道するんだ、という気概が、気骨が、なくなりつつあるんだろう」

 気骨、か~。

 気が、魂が、宿りし骨。そう簡単には折れそうにない。そんな気骨が、いつのまにか、骨粗鬆症気味だということか。

 「だけど、だけどだ。ジャーナリズムは、この国が、真っ当であるための最後の砦。気骨がなくなりつつあるなら、牛乳でも小魚でもナンでもいいから『魂のカルシウム』満点のアレもコレもをガンガン食べて、その気骨、最強の骨密度にしてくれよ。頼むよ、マジで」

 魂のカルシウム、か~。

 できることならその魂のカルシウム、私も、是非、いただきたい。(つづく)

 

 

追記

 ある日のあるローカルニュース。

 市長さんたちが挙(コゾ)って、実に楽しげに、ある政党のある党首候補者を応援する様子が。あたかも、その候補者を全県民あげて応援しているかのような、ほのぼのテイスト。

 コレが、ニュース?

 ナニかの、ダレかのための、印象操作。

 その全てが作為的。

 候補者の名前を出した時点で、見事なまでの偏向報道と思えるのだけれど、こんなのも許されてしまう70位の報道って、やっぱり、罪深い。