はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と九十一
「ショクインカイギ ハ カイギ ジャ ナイカラ」
「ちょっと話題を変えさせてもらってもいいかい」
えっ!?
いつだって唐突に、見事なまでにお構いなく、思いっ切り移調やら転調やら三昧のAくんにしては、いつになく、ナゼか、謙虚。
「僕が、学校の先生を辞める数年前あたりから、とにかく、上からの圧がハンパなく重苦しいモノになりつつあったわけよ」
上からの圧、か~。
そういえば、校長先生なんて役所の課長クラス、だと、聞いたことがある。天下の現場の大将である校長先生が課長クラスでは、申し訳ないが、上からの、その強烈な圧を跳ね返して、現場の事情を、実情を、独自性を、考慮して、鑑(カンガ)みて、思い切った判断を、決断を、取り組みを、なんて、まず、できないだろうな。
「しかも、挙げ句の果てには、管理職、『職員会議は会議じゃないから』とまで言い出す始末」
職員会議は会議じゃ、ない?
「じゃ、なんなのですか」
思い切って尋ねてみる。
「『伝達の場』、と、ぬかしやがる」
「で、伝達の、場、ですか」
「そう、伝達の場。お上からのお達しを伝える場。ソレをシッカリと、文句一つ言わず受け止める場だ」
な、なんと。
「人事のコトやら退職後の天下り先のコトやらで首根っこをムギュッと掴まれてしまっているわけだからな、そりゃ、もう、ほとんどの管理職はイエスマンだろうよ」
イエスマン、か~。
「首根っこを掴まれたイエスマンが、翼やらナンやらをもがれたイエスマンたちに伝達するわけだ」
ん~。
「言っておくけど、学校に限らず、会議が全くもって真っ当な会議なんかじゃなくて、一応、とりあえずカタチだけありますけど、みたいなそんな組織に、絶対に明るい未来はないから」
ふ~。
おっしゃる通り、まず、ない。
ソレぐらいのコトは、私でも、わかる。
(つづく)