ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1170

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と壱

「トウロン ディベート ディスカッション」

 日曜日の朝は、熱々のコーヒーが注がれたマグカップ片手に、バターとハチミツをタップリと塗りたくった焼き立てのトーストを頬張りながら、某国民営放送局の討論番組をボンヤリと、が、Aくんのルーティンであるらしい。

 ナニかと物議を醸しがちな、あの、日曜日の朝の討論番組のことだろう。

 「討論。討論というワードに、君は、どんなイメージをもっている?」

 討論の、イメージ、か~。

 「左右に分かれて、お互いに、相手を論破するコトに命を懸ける、みたいな、そんなイメージでしょうか」、と、とりあえず。

 「いわゆるdebate (ディベート)ってヤツだな。真っ当な理詰めで相手を打ち負かす。いいね~」

 「でも、そもそもディスカッションが苦手な国民性ゆえ、このディベートも、なかなかこの国には根付きませんよね」

 「そう、その通り。根付かない。まさに、ソコなんだよな、ソコ。なんとなく、毎週見ている日曜日の朝の討論番組に、僕が、いま一つ、モノ足りなさを感じてしまうのは」

 「申し訳ありませんが、アレを討論と呼ぶには、ちょっと」

 「おっ、見たことがある?」

 「何度かだけですが。少なくとも、私が見たどの回も、各々(オノオノ)が自分の意見を述べるだけで」

 「そう、そうなんだよな~。コレからもあんな調子で番組づくりをするつもりなら、もう、番組名から『討論』を外して、座談会、とか、井戸端会議、とかに、すればいい」

 たしかに、井戸端会議、っぽい。

 「ある時、ある政党の方が、結構激しく突っ込みをい入れ始めて、おっ!、と、一瞬期待したのですが、ソレも束(ツカ)の間、すぐに司会者によって軌道修正されてしまって」

 「上からイロイロと言われているんだろうな、司会者も」

 「それにもう一つ、疑問に思っているコトが。時間、短くないですか?。しかも、そのわりには題目が多い」

 「そうそうそうそう。たかだか一時間程度の番組なわけだからな。丁々発止のディベートを期待するなら、もっともっと、テーマを絞って、時間もかけなきゃ。ま、そんなコトは、重々承知なんだろうけどね」

 でも、そうしない。そう、できない。

 と、なると、国民営放送局としての重責を担うその組織のその在り方そのものに、ちょっとした不信感さえ抱いてしまう。とはいうものの、それでも、やっぱり、国会が論戦の場でなくなりつつあるだけに、某国民営放送局には、どうしても、どうしても期待したくなる。テーマを絞り、せめて半日ぐらいは掛けて、徹底的にやり合えばいいと思うのだけれど、ソレを阻むダークなナニかのために、ところがどっこい、そうは問屋が卸さないのだろうな~。(つづく)