はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と十二
「ズット ズットイゼンカラ ワカッテイタコト ナノニ」
少子化問題も高齢化問題も、ソレに絡む年金問題も、もちろん地球規模の環境問題も、ずっと、ずっと以前からわかっていたコトなのに、放置してきたんだからな~、と、呆れ果てるように語り始めた、Aくん。
ではナゼ、放置してきたのか。
ナゼ、放置しても、取り立てて批判されることもなく呑気に今に至る、などという芸当が可能だったのか。
そのナゾを、Aくんに問い掛けてみる。
「ナゼ、ず~っと放置し続けてこれたのですか」
「人々の関心が、ソンなモノよりも他にあった、ということだな」
「他にあった?」
「人々の関心がないモノで選挙は戦えないだろ」
「選挙?」
「幸い、民主主義国家と云われている国々は、一応、選挙によって権力者が選出される。というコトになっている。と、なると、ナニよりも大切なコトは選挙に勝つことで、ナニがナンでも勝たないことには話にならない、勝つことが全て、な、わけだ」
選挙に勝つことが、全て、か~。
「じゃ、つまり、票に繋がらないようなコトを、いくら主張したところで選挙に勝てるわけがない、と」
「と、いうことだ。そんな遠い未来のコトよりもこの今だろ。この候補者なら、とりあえず、この今を、甘い汁で潤してくれるんじゃないかという期待感があって、初めて、票を投じるんだよ、違うかい」
残念ながら、違わない。しかし、違わないかもしれないけれど、そんなコトだから、ついつい「その場しのぎ」まみれになってしまうのだ。と、思いはするものの、やっぱりこの今のコトだけで精一杯、という、その、如何ともし難い気持ち、本音、わからないわけではない。
「でもね、ソレが許されのは、ギリギリ、地方議員まで。地方議員と国会議員とは全くもって違う。というか、違わなければならんだろ」
「つまり、地方議員を選ぶように国会議員を選ぶな、ということですか」
「そう。この国の、この星の、遠い未来を、未来のコトを、考えられないような人間を国会議員にするな、ということだ」
(つづく)