はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と七十
「キシャクラブ! キシャクラゲ?」
「僕が、敬愛してやまない『ジャーナリスト』という職業。そのジャーナリストにとって最も大切なのは、ありとあらゆる権力からも圧力からも、そして、目先の利権からも損得からも、更には、仲良しとかそうじゃないとかからも、ナニがナンでも解放されていること。そうでなければ真っ当なジャーナリズムなんて存在し得るはずがない」、と、オープニングからヤタラと気持ちが良すぎるぐらいテンションが高い、Aくん。
「そんな中で、このところ、なんだか妙に気になって仕方がないのが、『記者クラブ』ってヤツ」
「記者クラブ、ですか」
「皆が皆、全てそうだとは思わないが、『予定調和的な無難主義』感、満載だろ」
予定調和的な無難主義、か~。
「今、ソコを突っ込まなくて、ナニがジャーナリスト、ドコがジャーナリズムだ、ってこと」
ん~。
「僕はね、そういった実に会社員っぽい似非(エセ)ジャーナリストたちを、失礼ながら、コッソリと、『記者クラゲ』と呼ばせてもらっている」
ん?
「き、記者クラゲ、ですか」
「そう、クラゲ。クラゲには脳なんてなくて、反射神経だけで生きているらしい」
「反射神経で、だけですか」
「そう、反射神経で、だけだ。だから、記者会見から、記者クラブから、摘まみ出されないように、無意識に、反射的に、ビビり、忖度するのだろう」
反射的に、ビビり、忖度、か~。
「質問内容やらその追求やらの甘々さを目(マ)の当たりにして、申し訳ないが、残念ながら、そう思わざるを得ない」
あ~。
「あのフワフワとしたゼラチン質も、なんとなく、掴みどころのない記者クラブ、っぽいだろ」
たしかに、おっしゃる通り。
脳も魂も抜かれてしまった(というか、自ら抜いてしまったのかもしれない)記者クラブ。私も、これからは、「そうであってほしくない」という強い願いを込めて、あえて、「記者クラゲ」と呼ばせてもらうとしよう。(つづく)