はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十五
「オー! ビーピーオー!」
あるフリーのジャーナリストが、活字媒体、活字メディア、に、対しても、BPO(ビーピーオー)のようなチェックシステムをつくることができないものか、と、提案されていた。
そう、B、P、O。
自主独立が信条の、放送倫理、番組向上、機構。
「テレビだけでなく活字媒体にも、BPOのようなチェック機構があった方がいいように思えるのですが」、と私。
「ビーピーオー?。あ、あ~、BPOね」
「活字倫理、出版物向上、みたいな」
「あってもいいと思うが、・・・」、と、妙につれない、Aくん。ナニか、引っ掛かる点でもあるのだろうか。
「そもそも、電波とペンとではバックグラウンドが違うからな~」
ん?。バックグラウンド、とは。
「ペンは剣よりも強し、と、よく言われたりしているけれど、電波は剣よりも強し、なんて、誰も言わないだろ」
たしかに、聞いたことがない。
「放送法やら電波法やらに、どうしても、ガンジがらめ。ビビりぎみ。それゆえ、必然的に国家権力に弱くなりがち。てなわけだ」
あ~。
そういえば、ときおり、総務相あたりが免許の取り消しもあり得る、みたいなコトを、エラそうに、わざわざ宣ったりしているな。
「ひょっとしたら、実は、国家権力から守るために、その機構、つくったのかもしれないぜ」
放送局を、ではなく、むしろ、その背後の強大なチカラを、圧力を、チェック、か~。それ、あり得るかもしれない。
「ビビりぎみの電波と違って、ペンは剣よりも強し。剣は横暴な権力。その権力に立ち向かうペンにBPOなんて必要ないだろ。そんなモノつくってしまったばっかりに、本来のペンのチカラが規制されてしまっては本末転倒、元も子もない」
んん~。
Aくんのその思いも理解はできるが、ただ、あまりにも性善説に基づき過ぎなような気がする。そのターゲットがドレほど追い込まれようが傷つこうが、ドウなってしまおうが、売り上げ部数さえ伸びればソレでいい的な、そんな理不尽で無責任極まりない活字が、活字媒体が、見受けられるだけに、悩ましい。
「ただし」
ん?
「ただし、ペンは剣よりも強し、で、あって、間違っても、ペンが剣になってはいけない。ソレは絶対に許されない」
ペンがもつ強さの意味を履き違えてはいけない、と、いうことか。深い、深いな。
「だけど、やっぱり、ペンに対するBPOには、諸手を挙げて賛成というわけにはいかない」
ん~。
「いかないが」
ん?
「あの、国会には、そのBPO、あってもいいかもな」
「こ、国会には、ですか」
「そう。国会は『Diet (ダイアット)』、答弁は『Response (レスポンス)』だから、BPO、ならぬ、DROだな」
ディーアールーオー、DRO 、か~。
いいかもしれない。
「国会倫理、答弁向上、機構。ですね。それ、賛成です。大賛成」
(つづく)