はしご酒(Aくんのアトリエ) その九百と十七
「センシンコク デハナク マンシンコク?」
「ナニが、ドコが、いったい、先進なんだろうな」
ん?
「せんしん?」
「先進国の、先、進」
あ、あ~、先進。
「エラそうに『先進』などと宣ってはいるけれど、ちょいとお先に前を、程度の、コトなのかも、ってな」
先進、先進国、か~。
先進とはナニか。ナニを以(モッ)て先進なのか。私ごときでは、まず、説明なんてできそうにない。
私の場合、情けない話だが、コレに限らず、なんとなく理解していたように思っていたコトが、実は、全くもって理解なんてできていなかったということが、あまりにもあり過ぎる。
「経済力にモノを言わせてちょいとお先を進んでいた科学の力も技術力も、結局は、ほぼ軍事利用。見てみろよ。あのドローンなんて、もう、完全に兵器」
ソレは、私も、気になっていた。
悲しいかな、いつだって、利便性は、平和利用の枠内に収まらないのである。
「そして、おそらく、あの手塚治虫氏も、横山光輝氏も、危惧していたように、近い将来、2足歩行ロボットも、兵士として、殺人兵器として、戦場に送り込まれることになるんだろうよ」
ん~・・・、そういえば。
「ドローンなどの無人兵器の登場によって更なる戦争のゲーム化が、みたいなことを、ある学者が宣っていたような」
「戦争のゲーム化、ね~。かも、かもしれねえな。己の手で他人(ヒト)を殺(アヤ)めたことによって己の心に刻まれた深い傷が、皮肉にも、戦争反対の声を、世論を、広めていくことに繋がっていくんじゃないかと淡い期待を抱いていただけに、戦争がゲームみたいなことになっちまったら、もう・・・」
珍しく、Aくん、語尾が、デクレッシェンドに。
そして、寡黙にテーブルの上を片付け始めたと思ったら、またまた、奥へと姿を消してしまった。
・・・
戦争なんて。
戦争なんて、そんなモノ、体験など、ましてや他人を殺めたり、せずとも、誰もが、皆、無条件に、理屈抜きに、「反対」できるモノであるはずなのに、ナゼか、「社会悪」も「必要悪」、みたいな、そんな風潮が根強い。ソレが、その手の先進国による戦争のゲーム化によって、更に一層、と、なると、デクレッシェンドに宣いつつ奥へと姿を消したAくん同様、私も、「もう」、という気持ちになってしまう。
・・・
もう。
もう、こうなったら、ちょいとお先に前を、程度の、その手の先進国には申し訳ないが、コレからは、「先進国」ではなく「慢心国」と呼ばせてもらおう。(つづく)