ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.993

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と二十四

「テキ ノ テキ ハ ミカタ! ミカタ?」①

 古今東西、背に腹は代えられぬ邪道ってのが、結構あったりするわけよ、とAくん。

 背に腹は代えられぬ、邪道?

 「ひょっとしたら邪道なのかもしれないけれど、それでも、そのセッパ詰まった苦境を打破するためなら、ココはとりあえず、そうするしかない。というわけだ」

 そうするしかない、か~。

 「わかっちゃいるけど、どうしても、それでも邪道に走りがち。という、そんな邪道の一つが、あの『敵の敵は味方』だ」

 「敵の敵は、味方、ですか」

 「そう。目の前に立ちはだかる敵にプレッシャーを与えるために、あるいは、自分の立場を有利にするために、その敵の敵を味方に付ける。という戦術。王道といえば王道なんだけれど、コレを、日常生活の中で行ってしまうとなると、さすがにちょっと、毒気が強すぎる。かもしれない」

 毒気?

 たしかに、こんな戦術を、安易に持ち込んでしまうから、たとえば争いが、戦争が、ドンドンと拡大していくように思える。そんな、そんな戦術を日常生活で、など、真っ当な神経で考えれば、普通、トンでもない、と、ダレだって思うはずだ。

 「ダメでしょ、ソレ」

 ココはビシッと言っておかねば、と、思い切って宣ってみる。

 「ダメだろうな。でも、場合によっては無意識に、ヤッっちゃうんだよ、敵の敵を味方に付ける、ってヤツをね。ただし、仮に、敵の敵が『善』の塊(カタマリ)のような人だとしたら、どうだい?。純粋に、良好な関係を築きたいとは思わないかい。それでも君は、ソレさえも『ダメでしょ、ソレ』と、宣うわけ?」

 うわっ。

 一気にヤヤこしくなってきた。

 あ~、思い切って宣ったりしなきゃ良かった。またまた、怒濤の勢いで後悔してしまう。

 ただ、ナンとなくモヤモヤとしたモノが、モヤモヤと、モヤモヤと燻(クスブ)ったままであることもまた事実。そのモヤモヤの正体とは、いったい、ナンなのだろう。

 「でも」

 「ん?」

 「でも、やっぱり、ナニかが引っ掛かるのです」

 「ナニかが引っ掛かる、ね~」

 そう呟きながら、Aくん、またまた奥へと引っ込んでしまう。(つづく)

 

 

 

 

追記

 いくつかコメントを。

 おじさん二人のタラタラ噺(バナシ)に共感をいただいて、「ダレがナンと言おうと我が道を行く」系の「Aくん」も、「私」も、思いの外、結構、気を良くしている、かも。