ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.778

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と九

「タスウハニヨル ショウスウハニタイスル イジメカモシレナイ」

 この世の中のほとんどは、ひょっとすると、多数派による少数派に対するイジメかもしれない、とAくん。

 仮に、民意で決まったコトに従うことが民主主義であるとするなら、一歩踏み間違えれば、その民主主義ってヤツは、少数派という犠牲の上にしか成り立たない、ということになるかもしれないだろ、と、重く言い添える。

 「民主主義を、単なる勝ち負けと考えてしまうことの危うさ、ってことですか」、と私。

 「そういえば、一時期、流行ったよな、『勝ち組負け組』というフレーズ」

 「国民を、ひいてはこの星の住人を、勝ち負けで二分するなどというその発想自体、少なくとも政治に関わる者のモノとは、到底、思えないですよね」

 勝った者たちの考えが民意で、負けた者たちの考えは民意ではない。負け組は黙って勝ち組について来い。それがイヤなら勝ち組になればいいじゃないか。では、あまりに乱暴すぎる。

 「社会的な、物理的な、精神的な、合法的暴力。いわゆる、ポピュリズムからのファシズム、ってヤツだろ、ソレって」

 「ポピュリズムからのファ、ファシズム、ですか」

 「圧倒的な人気を利用して、圧倒的な支持を得る。そして、少数派を黙らせる、息の根を止める。ソコには、ファシズムに向かう大いなる危険性が孕(ハラ)んでいる、とは思わないかい」

 危険性、か~。

 感じなくは、ないか。

 多数派と少数派を、勝者と敗者に置き換えたあたりから、この国は、この星は、敗者を、少数派を、イジメにイジメ倒すイジメイジメワールドに様変わりしつつある、ということなのだろう。

 あるべき民主主義の本来の姿とは、いったい、ナンなのか。いま一度、ジックリと考えてみる必要がありそうだ。でないと、民主主義は、いずれ、この星から消え去ってしまいそうな気がする。(つづく)