はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と五十二
「ガッコウ センタクセイ?」
「価値観の多様性」
ん?
「様々な魅力のカタチ」
んん?
「が、その中心に据えられていない学校選択制は、単なる公立学校の序列化でしかない」
んんん?
「公立学校の序列化は、地域の序列化、のみならず、ひいては、子どもたちの序列化にも繋がりかねない危険性を、孕(ハラ)んでいるということを忘れてはいけない」
ん、ん~。
「テストの点。僕は、ほとんど意味がないと思っている、あの、全国学力テストの各校の点数だよ」
えっ!?
「そして、中学校なら、進学先ね。ほら、どの高校に何人、ってヤツ。この2点が、選択の際の資料として各戸に配布されるわけ」
うそっ。
「コレって、価値観の画一化、たった一つの魅力のカタチ、以外のナニモノでもないだろ。そうは思わないかい」
な、なんということだ。
「ソコに潜む問題点には目を瞑(ツム)り、どころか、問題点だとも思わず、一部の支持者を抱き込んで、そんな恐ろしいコトをヤラかしている自治体がある」
うわ~、なんという序列化だろう。
学校を、地域を、子どもたちを、大人たちが寄って集(タカ)って序列化して喜んでいる。
「現場の先生たち、かなり疲れ果てていると思う。それも、イヤな疲れ。けっして、とれることのないイヤな疲れだ」
なんとなく、わかる。その、とれることのないイヤな疲れ。
「どの学校も、個性豊かで多様性に富んでいるのなら、まだしも、ソレって、マジで単なる序列化ですよね。まだまだ人生コレからという子どもたちまで、早々に、序列化して喜んでいるのですから、なんか、いたたまれない気持ちになります」
「学校を勝ち負けゲームで競わせて、ランク分けし、負けチームにはお金をかけない。場合によっては廃校。みたいな、そんな姑息な手口なんじゃないか、って、どうしても思ってしまうよな」
「どの学校にも、お金をかけなきゃダメですよね。クラスの人数をウンと少なくして、先生の数はウンと増やして、先生たちが、余裕をもって魅力ある多種多様な授業を展開できるような環境づくり、を、していかないと」
「その通りだ。一部の、いわゆる勝ち組の学校は、それなりにやっていけるかもしれないが、ソレ以外のほとんどは、ドンドンと萎んでいくだろうね。ま、ようするに、体(テイ)のいい公立学校潰しだな」
体のいい、公立学校潰し、か~。
体のいい公立学校潰しは、先生潰し、地域潰し。そして、ナニよりも罪深い、子どもたち潰しだ。(つづく)