ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.573

はしご酒(Aくんのアトリエ) その十四

「イチャモンナンテモンハ ナンボデモツケラレマッセ」①

 どんな会話の流れの中で、あの、ナニがナンでもOosacan(大阪人)なOくんが、そう語ったのかは、もう、あまりにも昔のことすぎて覚えてはいないのだけれど、初めて会ったその時のその言葉が、なぜか、いま、突然、蘇る。

 「その気になったら、いちゃもん、なんてもんは、正義の名の下(モト)、なんぼでもつけられまっせ~、と、ほら、あの大阪弁の彼が、熱く語っていたこと、覚えてませんか」、と、あの時、間違いなく同席していたAくんに尋ねてみる。

 一瞬、キョトンとした表情を見せるAくん、またまた、暫しの間、沈黙する。

 そんな、こんな、の、この、いちゃもん。

 もちろん、そのとき、初めて耳にした言葉なのだけれど、この「いちゃもん」なるものが、いかなる意味なのか、が、全くもって見当すら付かなかったのである。

 しかしながら、見当など付きはしなくても、その言葉のフォルムからは、なんとも言えないキュートさが伝わってきて、おもわずOくんに、「その、いちゃもん、なんだか可愛いね」、と、宣ってしまったことをリアルに思い出す。

 ちびっこ怪獣ヤダモン、友好珍獣ピグモン、地底人アングラモン、そして、くまもとサプライズくまモン、と、ドレもコレも「モン系」は、随分とキュートなのだ。

 もちろんOくんは、そのあたりをゴッソリと全否定。

 「いちゃもん、なんちゅうもんは、そんな、可愛い、もん、と、ちゃいまっせ」、と、つれない。

 いちゃもん、は、言いがかり。とにかく、弱いトコを突いて突いて突きまくる、オキテ破りの戦闘型ワードで、決して、アンタが思うようなもんやない、と、大阪弁でバババババッと語りまくられた私は、スッカリ怯んでしまったのである。(つづく)