ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.09

椀物 その壱

「ナガイモノニ マカロニウエスタン

 made  in  Italy の西部劇、マカロニウエスタン。スパゲッティウエスタンとも言うらしいが、コチラは馴染みが薄い。

 悪党たちが、ハビコりノサばる荒野の小さな町。そんな荒野の町には、いつも乾いた風が吹きスサび、人々に笑顔はない。彼らは既に、抗うことを諦めている。ベストではなくてもソレなりの生活がソコにはあるからだろう。そんなある日、そこに流れ者が現れる。スゴい銃の腕前。フランコ・ネロジュリアーノ・ジェンマクリント・イーストウッド、懐かしい面々。激しいドンパチの末、町に平穏な日々が訪れる。やがてクリント・イーストウッドたちは去っていく。

 でも、大衆の力によって勝ち取ったモノではないから、おそらく、近いうちに、またまた新手の悪党がハビコりノサばり出すだろう。もう凄腕の流れ者は、やって来ないかもしれない。そもそも現状を打破する起死回生の一手を打ってくれるような流れ者など、そんな簡単に都合よく現れはしないのだ。

 結局は、抗うことも、流れ者の登場に期待することも、なく、とかくこの世は「ナガイモノニ、マカロニウエスタン」というコトに、なりがちなんだよな~。

 と、主役であるはずの豚肉の、その立場を軽んじているんじゃないかと思ってしまうほどの勢いで、大ぶりのニンジンやらサツマイモやらがゴロゴロと投入された豚汁(人気がないのか、メニューから消えてしまったみたいなのだけれど)をパクパクと頬張りながら、そんな、抗って痛い思いをするぐらいなら長いモノに巻かれちゃいなよ、という、「ナガイモノニ、マカロニウエスタン」理論を、ホノかな絶望感を滲ませつつ、Aくん、あの日、ユルリと展開していたコトを、ナンとなく思い出す。(つづく)