はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と二十九
「タミハ コレニ ヨラシムベシ コレヲ シラシムベカラズ」
「本来の意味を履き違えて、あるいは、意図的に真逆の解釈をして、上手い具合に悪用してしまう、って、コト、あるよな」
ん?
「たとえば、憲法解釈。とくに9条なんて、まさに、ソレ」
あ~、たしかに。
さすがに、そのトンでも解釈に限界を感じ始めたのか、ココにきて、ヤタラと、早期改正に躍起になられているようだけれど。
んん?
「その本質を理解できていないがために、全くもって、真っ当な行動に繋がらない」
憲法も、論語も、そう易々とはその本質を理解なんてできない、と、いうことか。
「その論語の中に、こんな一節がある。『子(シ)曰く、民はこれに由(ヨ)らしむべし。これを知らしむべからず』(子曰、民可使由之、不可使知之)」。
悔しいが、残念ながら、なんのことやらサッパリ。
「政府、政治、と、一般ピーポーとの関係性、だな」
んんん?
「国家にとって、どのように向き合うことが賢明なのか」
ソレは、ちょっと、違和感がある。
国家にとって、ではなく、国民にとって、なら、まだしも。
「つまり、一般ピーポーは、余計なコトなど知らなくていい。知らされる必要もない。おとなしく従ってさえいればいい、と」
な、な、なんと!
「じゃ、なくて」
ん、ん、んあっ?
「いくら全てを知らして理解してもらおうとしても、なかなかそうはいかない。理解してもらうコトは、それほど容易いコトではない。だから、だからこそ、ナニがナンでも信頼に足る政府で、政治で、なければならないんだ。が、本来の意味らしい」
ふわ~。
一気に、ホッとする。
「ようするに、絶対に悪いコトなんてしちゃ~ダメだ、ってこと」
なるほど、なるほどな。で、でも。
「おそらく、陰で悪事に明け暮れているような政治家のほとんどは、一般ピーポーごとき、黙って、政府のやるコトに従っていればいいんだ、と。さすが孔子、いいコトを宣う、と。そう、マジで、思っているのでしょうね」
「そうだろうな。それこそ、論語読みの論語知らず。論語さえも適当に都合よく解釈して、上手い具合に悪用しようとしてしまうんだから、恐ろしいよ、まったく」
(つづく)