はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と八十九
「フアン カカエテモ アッショウ」
そういえば、そのコトと関係があるようなないような、そんな微妙な、ある日の朝刊の、ある記事の、ある見出し。
「不安抱えても圧勝」
そう、不安、抱えても、圧勝。
ある巨大自治体の首長選の結果を受けての記事である。
しかも、更にそのあとには「横綱相撲」やら「大改革」やらといった逞(タクマ)しく勇ましいワードまでもが続く。
ちょっとした違和感やら矛盾やらさえ感じるその「不安抱えても圧勝」。に、潜む、その自治体の、ひょっとしたら、この国の、致命的な短所、弱点、あるいは、病魔、みたいなモノがチラチラと透けて見えるような気がして、なんとも落ち着かない気持ちになる。
「不安抱えても圧勝。に、ザワザワ感が止まらないのですが」、と私。
「なんだよ、それ」、と、素っ気ないAくん。
「イロイロと不安要素満載であるにもかかわらず、その現職が、他の候補者を圧倒し圧勝。ソレって、その要因って、いったい、ナンだと思いますか」
「ん~、その要因、ね~。・・・、他の候補者がソレ以上にイマイチだった。って、コトなんじゃないの」
「でも、そのわりには、投票数は前回より増えているんです。とはいっても、有権者の6割程度ですけど」
「ほ~。と、なると、その、他の候補者は他の候補者なりに、それぞれ魅力ある候補者であったわけだ。けれど、現職の岩盤支持数を上回るには至らなかった、って、コトか」
「現職のその岩盤支持数は、その程度の抱えている『不安』ごときでは、ビクともしないということですか」
「おそらく。そもそも、岩盤支持者たちは、端(ハナ)からそんなモノをその現職に期待なんかしちゃ~いないんだろ。嘘をつこうが、誤魔化そうが、大企業と結託して甘い汁を吸おうが、そんなコトはドウでもいい」
そう言われると、たしかに、岩盤な方々にとっては、そんなコト、ドウでもいいような気がする。
「僕たちには、到底、理解なんてできっこない、なにか、トンでもなくダークな魅力に満ち溢れているんだろうよ、その現職は、きっと」
トンでもなくダークな魅力、か~。
「不安、ならぬ、フアン、ファン。岩盤なファン抱えての、圧勝、な」
うっわ~。で、出ました、前頭葉の、老化。
だけど、ソレ、かなり核心を突いている、かも。
(つづく)